世界193ヵ国すべてを旅した女性が学んだこと「文化は違っても、人の願いは同じ」
子供の頃から旅を愛するジーナ・モレロは、国連加盟国の193ヵ国すべてに行くことを決めた。北朝鮮やシリアなどの危険な国々を含む世界のありとあらゆる場所を訪れ、さまざまな人や文化を目の当たりにした結果、彼女はどう変わったのか。彼女が知った「人間の普遍的な願い」とは──。 【画像】国連加盟国193ヵ国すべてを旅した女性が学んだこと「文化は違っても、人の願いは同じ」
あっという間に100ヵ国達成
私はいつも冒険心に満ちていた。それで2013年に、「世界中のすべての国を旅する」という目標を立てた。 ルイジアナ州で育った私は子供の頃、家族で米国中にロードトリップに出かけた。13歳のときにはテキサスにいる親戚を訪ね、彼らと一緒にメキシコの町に行った。それは私が知っていたものとはあまりにも違っていた。 学生の頃はそれほど旅行をしなかった。しかし、20代後半からアメリカン航空でマーチャンダイジングの仕事をするようになり、空席があれば航空券が無料で手に入るようになった。昔はダラス発、ベネズエラのカラカス行きの便があったので、離島に一人でスキューバダイビングに出かけたこともある。 私にとって、最初の大きな旅はベトナムとインドだった。ハノイに到着して、バイクがビュンビュン走っているのを見たときのことを覚えている。 私はイースター島や万里の長城など、行きたい場所のリストを作っていた。古代文明が築いたものを見ると、自分がこの世界でいかに小さな存在かを思い知らされる。 航空会社で12年間勤務した後、テクノロジー企業に転職し、頻繁に出張するようになった。2012年にそれまで行った国の数を数えてみたところ、90ヵ国ほどになっていたので、100ヵ国を達成してみようと決心し、2013年にそれを達成した。 この時点で、私は国連加盟国193ヵ国すべてに行くことを目標に据えた。
北朝鮮で入国トラブル
旅のハイライトはたくさんある。2017年には、エベレストのベースキャンプ登山とヘリコプターツアーに参加し、頂上を見て思わず泣きそうになった。 ノルウェー沖のスヴァールバル諸島では皆既日食を見たが、それはすべてが真っ暗になるという、超現実的なものだった。ギニアビサウのビハゴス諸島では、母系制の部族に会った。そこの女性たちはとても社交的で、男性たちは控えめだった。 時折、すべての国に行けないのではないかと心配になることもあった。北朝鮮に入国する際(ガイド付きツアーであれば可能)、友人と私はトラブルに遭遇した。北朝鮮では、同国を取り上げた映画の持ち込みが禁止されている。私はセキュリティを通過できたが、友人のパソコンには『ソルト』という映画が入っていた。この映画では、アンジェリーナ・ジョリーが北朝鮮に拘束されたスパイを演じている。 友人は拘束された。彼は数時間後に解放されたものの、パソコンは返してもらえなかった。私たちは旅行のあいだ、ずっと緊張していた。 また、地政学的な面を考慮しなければならないこともあった。私は2019年、米国人がビザを取得できるごくわずかな期間に、なんとかシリアに行くことができた。
Gina Morello