勿来強殺、金品目的を否定 弁護側、殺人罪のみと主張 裁判員裁判初公判
福島県いわき市勿来町の住宅で昨年2月、金品を奪う目的で住人の女性=当時(85)=をハンマーで多数回殴って殺害したとして、強盗殺人の罪に問われた無職木村進被告(53)=別の事件で服役中=の裁判員裁判初公判は29日、地裁郡山支部(下山洋司裁判長)で開かれた。罪状認否で木村被告は「ハンマーでたたいたことは認めるが、物色したり、物を盗んだり、荒らしたりはしていない」と起訴内容の一部を否認した。弁護側は「金品を奪おうという意思はなく、殺人罪にとどまる」と主張した。 裁判の争点は、被告が事件当時、金品を奪う意思があったかどうか。検察側は冒頭陳述で、被告が以前、女性所有の一軒家を貸借していたことから「(女性に)家賃収入があることを知っていた」とした。その上で被告が困窮した生活状況にあり、殺害後に家の中を徘徊(はいかい)したほか、凶器のハンマーを河川に投棄し、別の場所で計画を記したとみられるメモが発見された点などから「殺害する際に金品を奪おうと考えていた」と指摘した。 弁護側は、被告が女性に借金の3千円を返そうと訪問した際、女性が何者かに殴打されて倒れた状態で「パニックになり、瀕死(ひんし)の状態だった女性をハンマーで殴った」とし、「犯人が潜んでいると考え家の中を徘徊し、盗んだ物もない」と主張した。 次回は30日午前10時から被告人質問が行われる。
福島民友新聞