アルミ缶23年度リサイクル率3.6ポイント増、97・5%。再生利用ニーズの高まりで
アルミ缶リサイクル協会(理事長・石原美幸UACJ会長)は21日、2023年度のアルミ缶リサイクル率が前年度比3・6ポイント上昇の97・5%だったと発表した。19年度の97・9%に次ぐ高水準。アルミ缶需要は前期、5億6千万缶減少したものの国内再生重量が前年並みを維持したことが主要因。またUBCが缶材に再生されるCANtoCAN率も高水準を達成した。 リサイクル率は国内で回収されたUBC(輸出向け含む)の再利用率を示しており、(1)国内再生利用量(164億5千万缶)、(2)韓国などに輸出されたUBC重量に組成率(89・4%)を積算した数量(39億1千万缶)の合算値とアルミ缶消費量を基に算出している。 23年度は消費量が209億7千万缶(前年比5億6千万缶減)だった一方、国内再生利用重量が164億5千万缶(1億6千万缶増)、UBC輸出重量が39億1千万缶(組成率考慮後、7千万缶増)だった。 UBC輸出は前年に増加していたタイ向けが、同国のUBC利用企業が同国周辺域での回収網を確立したことで減少に転じた。しかし韓国向けが5万トン増加したことで前年並みだった。その一方で、国内ではカーボンニュートラルを意識したリサイクル原料の調達意欲の高まりを受けてUBC消費量が前年並みを維持した。同協会では「分母である国内消費重量が大きく減少したものの、分子のUBC消費が高止まりしたことでリサイクル率は上昇した」と分析した。 このほか23年度は協会の未把握重量が5万9千トン(前年は18万トン)に大きく減った。これについて同協会は「22年度はシュレッド品などの貿易統計上でUBC輸出に含まれない分が多くあったと推測していたが、市中在庫の積み増しが主要因だったと推察している」とした。 また国内で再生されたUBCのうち、アルミ缶材に再生した比率を表す「CANtoCAN率」は2・9ポイント上昇の73・8%だった。また消費されたアルミ缶が缶材に再利用された割合は、4・2ポイント上昇の58・1%だった。