約束手形の支払期日、60日以内に短縮へ 60日超は行政指導の対象に、中小企業の資金繰り改善が狙い
中小企業庁と公正取引委員会は、2024年11月から約束手形の支払い期日までの期間「手形サイト」を60日以内に短縮するよう各業界に要請している。長期の手形は、下請け企業の資金繰りを圧迫する要因となるため、手形サイト短縮で中小企業の経営改善につなげ、賃上げや設備投資を後押しする狙いだ。今後、60日を超える手形サイトは、行政指導の対象となる。 【動画】専門家に聞く「事業承継はチャンスだ。」
◆中企庁と公取委の要請内容とは
中企庁と公取委は、以前から手形サイトについて、繊維業では90日、その他の業種では120日を超える場合、下請法違反の可能性があると指導してきた。 両者が連名で、各産業の業界団体・金融機関・監督省庁等に対して出した要請の概要は以下の通り。 ①行政指導の対象 手形サイト等が60日を超える場合は「割引困難な手形」等にあたるとして行政指導の対象とする。 ファクタリング(事業者が保有する売掛債権などを、期日前に一定の手数料を差し引いて買い取るサービス)などの一括決済方式も含まれる。 ②下請法対象外の取引 下請法対象外の取引においても手形サイト等を60日以内に短縮すること。 可能な限り現金での支払いを行う。 特に建設工事や大型機器の製造など、納期が長期にわたる取引における前払い比率や期中払い比率の向上を求めている。 ③三者契約の徹底 一括決済方式の加入は下請事業者の自由意志によるものであること。 親事業者・下請事業者・金融機関の間の三者契約が必要であることが徹底されること。 ④資金繰り支援 手形サイトの短縮に取り組む事業者に対しては、資金繰りの支援を丁寧に行い、事業者の状況に応じた柔軟な対応を行うこと。 手形サイトの期間短縮に対しては、サプライチェーン全体で資金繰りに及ぼす影響を考慮し、支援策を講じながら進めることが求められる。 事業承継にも当然関係しており、後継者は取引先の支払いサイト・回収サイトについて理解しておく必要がある。 場合によっては経営者の交替に合わせて支払いサイト・回収サイトの変更が必要になるケースも発生する可能性がある。