支配下指名「77人中76番目」からの下剋上…日ハム“次世代エース候補”北山亘基(25歳)はなぜ「ドラフト8位」だった?《交流戦で今季4勝目》
今季、綺羅星のごとく若手が台頭を続ける日本ハム。投手陣からも3年目の北山亘基が4月にプロ初完封を見せるなど覚醒しつつある。次世代エースの片鱗を見せる大器だが、その背景にはどんなキャリアがあったのだろうか。《全2回の2回目/最初から読む》 【写真】「えっ、何頭身なの…?」182cmの“教授”こと北山亘基(25歳)の「グラブが膝につきそう」な長~い手足とスリムなフィジカル。試合での迫力の投球模様に、新庄監督の激レアカットも…この記事の写真を見る 2021年ドラフト当日、私はインターネット放送『パラビ』(現在は『ユーネクスト』)のドラフト会議実況中継で、解説席に座っていた。次々と指名される選手たちのプロフィールを簡潔に語り分ける、なかなかの難行である。 その中で私は「京都産業大の北山亘基君がまだ出てませんね」と2度ほど口にしたのを、今でも覚えている。 確かにそれぐらいの投手だった。 打者の手元でガッと来る「伸び感」抜群の速球は、アベレージでも145キロ前後だったし、スライダー、カーブ、カットボール、フォークとの緩急も冴えていた。なにより、登板するたびに、いつも実力を発揮するコンスタントさが信用に値する投手だと見ていた。 そしてようやく彼の名前が会場に告げられた時、ドラフトは8位指名にさしかかっていた。
なぜ「好投手・北山亘基」はドラフト8位だったのか
あるスカウトは北山のドラフトについて、こんな風に語っていた。 「北山のようなピッチャーは、判断が難しいんです。大きな欠点はない。でも、強く推せる材料もない。何年もエースとしてコンスタントに投げ続けた実績は大きな武器になるけど、決め手がなかった」 2021年のドラフトは、大学生の左腕に人材が豊富だった。 今は、西武の左腕エースになっている隅田知一郎(西日本工業大)、リリーフ陣の一角として共に西武投手陣を支える佐藤隼輔(筑波大)をはじめ、ドラフト1位・2位で、5人の大学生左腕が指名されたほとだ。 右の快腕にも、翁田大勢(関西国際大→巨人1位)、椋木蓮(東北福祉大→オリックス1位)などがドラフト有力候補として挙がっていたが、北山投手の実力だって、決してヒケをとるものではなかった。 それが証拠に、私が毎年ドラフト前に行っている『ひとりドラフト』企画では、京都産業大・北山亘基投手は「ロッテ2位」という上位で指名されている。 「正直、ヒヤヒヤしてました。もう、ないかもしれないって思ったり、指名がなかったら、どんな言葉をかけたらいいか。そんなことばっかり考えて…。指名された時は、いやもう、ほんとにねぇ……ホッとしました」 京産大の勝村法彦監督(当時)はそんな風に運命のドラフト会議を振り返る。 「ほんとにねぇ」の後の時間が、けっこう長かった。 3位指名か、4位には名前が挙がるんじゃないか。そんな評判も、ソヨソヨと聞こえてきて、勝村監督も北山投手にはそれだけの確信を持っていた。だからこそ、指名を待望する勝村監督の胸中も穏やかではなかった。支配下ドラフトで指名された77選手のうち、北山は実に76番目の選手だった。
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