東京六大学ホームラン王が特別披露!元プロ指揮官の教えを胸に、早稲田大・吉納翼が実践する「プロ野球で活躍する」ための秘策?!
「右手の時は小指と薬指の利き具合を意識しています。できるだけ返さないつもりではいますけど、どこかで返すタイミングが絶対にあるので、そのときにヘッドが立つ感覚でやれるようにしたいので、小指と薬指の感覚を確認しています。 左手はバットの軌道を確認していますが、自分はボールの軌道にバットを入れてしまうと、ヘッドに重みがある分、下がってしまいがちなので、ピッチャーに対して真っすぐ左手を押していくイメージだと、ちょうどいいんです。なので、上から叩くティーバッティングも、同じ狙いをもってやっています」 続けて、右足を大きくアウトステップして、体が開いた状態でのティーバッティング。このメニューには、東京六大学出身の偉大なOBの助言も関わっているという。 「大学代表の時、臨時コーチで来てくださった高橋由伸さんに、左半身を使って打つのを教えてもらったんです。もちろん下半身が一番重要なんですけど、外角のボールに対してしっかりと呼び込んで、ハムストリングやお尻、肩や背中など左半身をぶつけるように打たないと、飛距離が出ないと助言してもらいました。その感覚を掴むために、わざと右足を開いた状態で左半身だけで打つ形にしています」 リーグ戦やオープン戦など、実戦を重ねる中で学び、覚え、そして練習で改善する。その繰り返しを続けてきた4年間があるから、吉納のなかにだけある感覚であり、かみ砕いて解説することが出来るのだろう。
そんななかで出てきた「下半身が一番重要」という言葉。どの選手に聞いても、バッティングに置いて下半身の重要性は謳われているが、吉納の答えは東邦時代の教えだった。 「やっぱり軸がぶれてしまうと、自分のスイングができないので、大学に来てからより意識しました。 というのも、大学になって球速が変わりましたので、『振り遅れたくない、詰まりたくない』って考えてしまい、打ちに行ってしまった。それで軸がぶれてしまって、余計に打てませんでしたし、変化球にも手が出てしまいました。なので東邦時代に木製バットで打てた分、そのギャップで崩れてしまったので、もう一度立ち返って軸を意識しました。 そのうえで、どうやって左半身を使うか。これができないと長打は出しにくいですが、やりすぎると軸が崩れてコンタクトできない。なので、大きくはこの2つを意識するように素振りとかはやります。疎かにしがちだと思いますけど、自分は大事だと思っているので、鏡を見ながらだったり、動画を撮ってもらったりして、イメージ通りのスイングを目指しています」 東邦時代は、軸足60%、踏み込む足40%の感覚で重心を乗せていたが、「大学2年生くらいから軸足65%、踏み込む足35%くらいの感覚を意識している」という。わずか5%の違いしかない、ちょっとした感覚だが、「長くボールを見たいですし、実際に見ることが出来ている」と手ごたえはある。 実際に記録を見ても、吉納の四死球は9月24日時点で45個を記録。現役選手の中では最多になっている。吉納の感覚は間違っていないようだ。 現役ホームラン王の強烈な一打には、裏打ちされたたしかな自論が詰まっていた。東邦時代から継続して極めた軸を土台とした打撃。これがあるから吉納は広角に、そして強い打球を木製バットでも飛ばせている。 決して難しいことをしているわけではなく、シンプルなことを継続して突き詰めたからこそ、ドラフト候補まで成り上がった。この姿勢は多くの球児たちも真似すべき部分になるだろう。