甲子園優勝投手に「ビビってんのか?」慶応の“美白王子”丸田湊斗にも厳しい言葉を…高校日本代表を率いた明徳義塾・馬淵史郎監督の素顔
世界の壁に跳ね返され続けていた高校日本代表。その指揮を任され、悲願の初優勝へと導いたのは、変わりゆく高校野球界の“対極”に位置する馬渕史郎監督(明徳義塾)だった。選手たちは何を思い、いかにして戦っていたのか。 発売中のNumber1102号掲載の[日本代表メンバーが語る]明徳義塾・馬淵史郎「時代も価値観も超えて」より内容を一部抜粋してお届けします。 【貴重写真】大谷17歳、超細いのに甲子園で衝撃の特大HR(号泣姿もカワイイ)。ガリガリな柳田・松坂、捕手だった村上にヤンチャそうな学ラン姿の張本、無名時の山本由伸…名選手150人超の高校時代を見る やや芝居がかってはいたが、そのことが逆に冗談ではないのだろうなと思わせた。 「……怖かったです」 そうこぼしたのは早稲田大1年生の高橋煌稀だ。一昨年、仙台育英の二枚看板の一人として、夏の甲子園で胴上げ投手になった長身右腕でもある。インタビュー中、感情をほとんど表に出さなかったが、そんな高橋がうっすらと笑みを浮かべていた。 高橋が振り返ったのは昨年夏、台湾で開催されたU-18W杯でのことだ。 日本代表はスーパーラウンドの3戦目で優勝候補の地元・台湾(チャイニーズ・タイペイ)とぶつかった。台湾応援団のマイクでがなる独特の大声援が球場を覆い、日本人選手たちの神経を逆なでする。そんな中、先発した高橋は2者連続で四球を与えた上に、3盗塁をからめられるなどして、初回にいきなり3点を失った。
馬淵は「ビビってんのか?」と高橋に軽く詰め寄った
「調子がよくなくて、ストライクを投げたくても投げられなかったんです」 W杯は日本の高校野球とは異なり、監督が自らマウンドへ行くことが許されている。高橋の乱調を見かね、監督の馬淵史郎がベンチを飛び出した。馬淵は小柄だが、闘争心の権化のような男だ。高橋はマウンドで馬淵にこう言われたのだという。 「ストライク入れろ、みたいな」 この回想はかなりマイルドに加工されている。大会直後に横浜高校の緒方漣を取材した際、そのとき馬淵は「ビビってんのか?」と高橋に軽く詰め寄ったと話していた。高橋に確認すると、こう首肯した。 「そういう感じでしたね」 馬淵は、よくも悪くも直情型の監督である。緒方は、こう苦笑いしていたものだ。 「練習試合でバントを失敗したら『緒方、そんなんやってたら使えんぞ』って。会ってまだ3日目なのに、そんなにズバッと言われるんだ、って思いましたね」
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