報道現場から学ぶ、チーム活性化のための“3つのコミュニケーションスキル”
● 【コミュニケーションスキル2】 異なる視点を尊重する 報道では、伝え手の主観に偏ることなく、多様な意見や視点を取り入れることが求められます。視聴者は様々な価値観を持っているからです。そのため、ジャーナリストは取材の段階で様々な立場からの意見を集め、多角的に物事を捉えるようにしています。このアプローチが、報道の信頼性を高め、視聴者に多面的な考え方視野を提供することにつながっています。 私も以前、テレビのリポーターを担当していた当時は、ロケによく出かけていました。ひとつの番組を制作するにあたり、プロデューサー、ディレクター、カメラマンなど、技術スタッフ、編集担当者がそれぞれの立場から自分の意見を述べ、最終的には互いの意見を少しずつ取り込みながら、番組を完成させるというプロセスを踏んでいきます。しかも、番組は毎日が生放送でしたので、掛ける時間にも限りがあります。作業を進めていく過程の中で、時折、互いの意見のぶつかり合いになり、激しい論争になることもありました。しかし、全員の共通意識、つまり、最終的に目指す方向が同じであれば、どこかの段階で接点を見いだすことが可能となり、ほぼ全員が納得する形で完成を迎えるようになっていきます。番組制作で大切なのは「視聴者に何を伝えたいのか」というメッセージです。これが「共通言語」であり、「共通意識」にも結び付きます。最終的にこの「共通意識」があらゆる価値観を持つチームメンバーをひとつの方向に向かわせていくのだということを教えられた現場でもありました。 意見のぶつかり合いは大いに結構だと私は思います。大切なのは、様々な考え方がどういう価値基準に基づく内容なのか、そこを議論しながら詰めていくことです。 異なる意見を尊重しながら互いに受け入れ合うことで、これまでの自分になかった新たな視野を広げることもできますし、一人ひとりの持つ異なる視点やアイデアによって組織の成長を促すことにもなるでしょう。