「7番の左サイドバック」の正当な継承者。鹿島アントラーズユース・佐藤海宏が手にしたキャプテンとしての初勝利【NEXT TEENS FILE.】
「2人とも結果を残して、代表にも多く参加している中で、身近にいるからこそ意識しようとしなくても、自然と意識しますし、遥翔に関しては逆サイドですけど同じポジションなので、ライバルというか自分も負けたくない気持ちは持っています。でも、プレーを見ていても良い意味で見習えるというか、2人から学べることもありますし、自分もプレミアを通して結果を残していくことで、トップに上がる可能性も広げられるはずなので、1試合1試合を大事にしていきたいなと思います」。プレシーズンにはトップチームのキャンプにも参加し、改めて自身の昇格への意欲を掻き立てられた。
そのためにもプレミアリーグを戦う日常へと高いモチベーションで挑んできたが、開幕からの3試合は2分け1敗。なかなか白星が付いてこない。「アントラーズというクラブは常に勝利を、優勝を目指してやっていかなければいけないというのはいつも言われています」と口にする佐藤の心に、焦りの感情が渦巻いていたことは想像に難くない。
迎えた第4節。会場は今季2度目のカシマサッカースタジアム。ホームゲームということで、この日はユースの彼らに“援軍”が訪れた。スタンドに集結したのはアカデミーのジュニアユースとジュニアの選手たち。太鼓、フラッグ、そして、声。ピッチの選手に後輩たちの声援が降り注ぐ。
「自分も小さい頃はプレミアの試合の応援に来ていましたし、チームでの応援がなくても、時間がある時は試合を見に来たこともありました」。ジュニアからアントラーズでプレーする佐藤にとっても、プレミアリーグは憧れの舞台。さらにこのスタジアムでプレーするのであれば、やらない理由はない。
鹿島ユースは2点を先行したものの、終盤に差し掛かって横浜FCユースに1点を返される。「失点した時に時計を見たら80分ぐらいで、まずそこからの10分が長くて、もうワンプレーワンプレーが切れるごとに何度も何度も時計を見て、そのたびに『まだこれだけしか進んでないのか……』と思いました」(佐藤)。耐える。みんなで懸命に耐える。1分が、1秒が、いつも以上にとにかく長く感じられる。