大島に不慣れな「逆風」 アルプスからは背中押す「緑風」 センバツ
第94回選抜高校野球大会は第5日の23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦があり、8年ぶり2回目出場の大島(鹿児島)は明秀日立(茨城)に0―8で敗れた。初めて一般選考で勝ち取った舞台で、選手たちはフライの対応に苦しんだ。 【大島vs明秀日立 熱戦を写真で】 ◇ 21世紀枠で初出場してから8年、念願の一般選考でセンバツに挑んだ大島だったが、聖地に吹く不慣れな風に苦しめられた。 0―0の二回無死一塁の守備。左中間の飛球に左翼の青木が追いつきながら、捕球できずにピンチを広げてしまった。押し出し四球で先取点を許した後、今度は2死満塁で左翼に上がったフライを青木が一度後ろに下がり、慌てて前進したものの打球はポトリと落ち、さらに2点を奪われた。三回にも2死二塁から右翼への飛球で右翼の直江が落下点に入りながら球に触れず、追加点を与えて流れを渡してしまった。 いずれの飛球も記録は安打で、一塁手の美島は「風向きが変わっていた。難しいと思った」と振り返る。この日の甲子園は右翼から左翼に吹く名物の「浜風」とは逆に吹くなど風が舞っていた。塗木監督は「(新型コロナウイルスの影響で)甲子園練習がなく、知識はあっても体感できなかったのが大きい」と振り返った。 試練が待っていた甲子園だったが収穫もあった。序盤は力みが見られた先発のエース左腕・大野が五回以降は1安打無失点に抑え、169球で完投。2021年秋の鹿児島大会から九州大会準々決勝まで一人で投げ抜いた「鉄腕」が昨秋の関東王者の強豪に通用する投球を見せた。 大島のセンバツ出場で、甲子園から南西約900キロにある奄美大島は沸き、応援団はアルプス席を緑一色に染めた。塗木監督は「もう一回、甲子園に来て、奄美のみなさんに喜んでもらいたい」。聖地での初勝利に向けて、再挑戦を誓った。【吉見裕都】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。