臓器提供者の特技や性格が宿る“記憶転移”は現実に起こり得ない⁉ 臓器移植から始まる恋、ネトフリドラマ『さよならのつづき』を専門医が解説
有村架純と坂口健太郎がダブル主演を務めたことで話題を呼んだNetflixドラマ『さよならのつづき』。臓器移植の際に起こった“記憶転移”を題材にしたラブストーリーだが、食の好みから特技、性格まで変化し、「ドナーの影響受けすぎでは!?」と思わずツッコミたくなる瞬間も…。このような記憶転移は実際起こりうるのか。何人もの臓器提供に携わってきた脳神経外科の名医に話を聞いた。 【画像】臓器移植によって記憶転移が起こるドラマのワンシーン
“記憶転移”にツッコミどころ満載も…
有村架純と坂口健太郎がダブル主演を務めるNetflixドラマ『さよならのつづき』。今年11月に配信されると、2週目にして日本のテレビ部門で1位を獲得するなど話題を呼んだ。 内容は至ってシンプルだ。有村架純演じる、さえ子が恋人の雄介(生田斗真)を交通事故で亡くしてしまう。一方、坂口健太郎が演じる大学職員の成瀬は、雄介から心臓の臓器提供を受けたことで一命をとりとめる。臓器移植後、ドナーである雄介の特技や性格、記憶の一部が転移していく成瀬と、ひょんなことで出会ったさえ子とのヒューマンラブストーリーである。 臓器移植によって、臓器提供者(ドナー)の記憶や性格、趣味嗜好、習慣の一部が臓器受給者(レシピエント)に移ってしまう現象を「記憶転移」というらしいが、ドラマを楽しく視聴ながらも、「こんなことって本当にあるのか…!?」と思わずツッコミたくなる瞬間が多数あった。 まず成瀬は臓器移植後、かつては苦手だった珈琲が大好きになった。これはドナーの雄介が大の珈琲好きだったことに起因しているような描写だった。 さらには快気祝いに妻と訪れたハワイで、空港に置かれていたピアノを突然流暢に弾き始めたのだ。これには妻も驚愕の表情。しかも、雄介が生前弾いていた曲まで完全に一致していたのだ。 それだけではない。ときどき雄介の記憶がフラッシュバックして、雄介が生前口にしていた言葉も発し始めた。これにはさえ子(有村架純)も戸惑いの表情を浮かべていた。 さすがにドナーの影響を受けすぎでは…と思いつつも、このような臓器移植の“記憶転移”をテーマにした作品は漫画や小説、テレビドラマでも多数存在する。