最低賃金改定で「給与を見直す」企業4割 約2割は現在、10月以降の最低賃金を下回る時給
Q2.貴社で許容できる来年度(2025年度)の最低賃金(時給)の上昇額は最大でいくらですか?
◇6割超が今年度以上の水準が可能 今年度の最低賃金を基準に、来年度許容できる最低賃金の引き上げ額を聞いた。2,262社から回答を得た。 10円刻みのレンジでは、最多は「50円以上60円未満」の33.1%(749社)だった。今年度の引き上げ額の目安である50円と同程度の賃上げであれば、来年度も持続できると考えている企業が多いとみられる。 来年度も「50円以上」の最低賃金の上昇を許容できる企業の合計は64.6%(1,463社)だった。2023年8月に実施した同様のアンケートで、来年度(2024年度)に「50円以上」の最低賃金上昇を許容できるとした企業の50.6%からは、14.0ポイント上昇した。 アフターコロナの業績回復に加え、物価高を反映した価格転嫁も徐々に進んでいる。このため、人件費負担が増す企業がある一方で、賃上げ余力が生じている企業も出ている。 また、これ以上の最低賃金の上昇は「許容できない」と回答した企業は17.1%(389社)だった。前年度の15.9%からは1.2ポイント上昇した。 来年度の許容できる最低賃金の上昇額の中央値は、すべての企業規模で「50円」だった。
Q3.最低賃金の上昇に対して、貴社はどのような対策を実施、または検討していますか?(複数回答)
◇「価格転嫁」が最多の48.5% 最低賃金の上昇への対策について、3,779社に聞いた。 最多は「商品やサービスの価格に転嫁する」の48.5%(1,835社)だった。 以下、「設備投資を実施して生産性を向上させる」の26.7%(1,009社)、「雇用人数を抑制する」の16.7%(633社)、「従業員の雇用形態を変更する」の14.6%(552社)と続く。「できる対策はない」は18.3%(694社)。 規模別では、「設備投資を実施」は大企業36.2%(337社中、122社)、中小企業25.7%(3,442社中、887社)で、大企業が10.5ポイント上回った。一方、「設備投資を抑制」は大企業6.5%(22社)、中小企業11.2%(388社)で、中小企業が4.7ポイント上回った。 その他では、「130万円の壁もあり、稼働時間を減らすしかない」(情報処理サービス業、資本金1億円未満)など、時給の上昇による労働時間の短縮で、人手不足が加速することを懸念する声も聞かれた。