【毎日書評】センス不要。見やすいプレゼン資料をつくるヒントは「デザイン心理学」にあり
不確かなデザインと確かな心理学を掛け合わせる
しかし、そもそもなぜ心理学なのでしょうか? この疑問に対し、著者は次のように答えています。 心理学は人間のあらゆる行動を対象とする学問領域だからです。一般的に心理学は、記憶、学習、思考といった目で直接見ることのできない精神的な活動を扱うように思われています。しかし、実は目に見える行動も含めた、あらゆる人間の活動を探求対象としています。 一方でデザインはまさに人間の行動に直結している領域ですので、心理学×デザインの組み合わせはとても親和性が高いというわけです。(16ページより) たしかにこれまで、デザインは“科学とは相容れない感性的なもの”だと認識されていたのではないでしょうか。しかし近年では、調査や実験などを通じてエビデンスを得たデザインの重要性が理解され、「エビデンス・ベースドデザイン(evidence-based design:科学的根拠に基づいたデザイン)」と呼ばれるようになっているのだそうです。 「優れたデザイン」と聞くと、「自分はデザイナーではないので、優れたデザインのビジネス資料などつくれそうにない」と思われる方もいるかもしれません。しかし著者は、本書で紹介されているデザイン心理学を応用すれば、優れたデザインのビジネス資料を誰でもつくれるようになると断言しています。(15ページより) 著者は、旧紙幣の判別性評価プロジェクトにも参画したという経歴の持ち主。その成果は、先ごろ発行された新紙幣のデザインにも生かされているのだそうです。そうした多彩なバックグラウンドに基づく本書は、資料作成のスキルを上げるために大きく役立ってくれることでしょう。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: あさ出版
印南敦史