「自分をほめてあげたい」けど…再雇用で働く63歳大企業社員が40年間のサラリーマン人生で「反省していること」
定年を迎えても引退せずに働き続けるモーレツ社員。いったい彼らは仕事に対して、未来に対して、何を想っているのか。前編記事〈「逃げ切り世代」と言われても実際はボロボロ…再雇用で働く63歳大企業社員が「死ぬ前に後悔しそうなこと」〉では、再雇用に伴う給料カットなどに対する率直な思いを、大手食品メーカーに勤める酒井氏(63歳・仮名)に打ち明けてもらった。本稿では引き続き、再雇用のリアルな実態について聞いていく。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” 聞き手:佐藤大輝(33歳・逃げ切れない世代)
老後だけが人生のすべてじゃない
ーー厚生労働省が開設した健康サイトによると、2019年における我が国の平均寿命は男性81.41歳。女性87.45歳。対して健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は、男性72.68歳。女性75.38歳。ちなみに男性の60%弱が70歳になるまで働いています。僕が大好きなアニメ、推しの子のルビーなら「しんらつー」と言いそうなこのデータを聞いて、なにか思うことはありますか。 そうですねぇ。ずっと仕事と家庭に一杯一杯の人生で…。再雇用に伴う給料カットもそうですけど、あまりそういう現実に目を向ける余裕がなかったんです。自分は58歳くらいになってから、引退後の生活について少しずつ考える機会が増えました。 ただ、健康寿命のお話もそうですけど、焦りとかは特にないですね。私は60歳手前で出向、つまり出世争いに敗れたのですが、それまでは仕事にゲームみたいな面白さを感じる部分があって。給料がわかりやすいですけど、頑張ったら報われると信じて、努力してきた。戦ってきた。その渦中にいるときは、それはそれで充実してたなって。なので、老後だけが人生のすべてじゃないと前向きに考えるようします。 ーー酒井さんは65歳で契約終了を迎えた後、72歳まではマンションの管理人など、月10万くらい稼ぎたいと仰ってましたが…。お話聞いてると、かなり仕事が好きそうな感じですよね。 仕事が好きなのかお金が好きなのかは微妙なところですが…。働くこと自体は嫌いじゃないです。ボケの防止にもなりますし、そこまでネガティブには考えてません。機会があれば若い社員へ、自分の経験を伝えたいなって想いもあります。ウザがられそうなので自粛してますが。