鎌倉暮らしの達人、建築家・石井秀樹さんがプロ目線で語る!鎌倉を訪れるなら絶対に立ち寄りたい場所ベスト5
報国寺/鎌倉市浄明寺
鎌倉時代後期に開山された禅寺の報国寺。ここは何といっても美しい竹林が感動的です。2000本といわれる孟宗竹の竹林は光と影、風や湧き水の音、静かさが見えるような空間です。 弧を描きながら竹林を眺めるようにつくられている休耕庵で抹茶とお菓子をいただきながら静かな時間を楽しんでください。 竹林の奥には、鎌倉の地域特有の岩肌をくり抜いた横穴式墳墓のやぐらもあり、自然との関わりが鎌倉の魅力であることを感じさせます(石井秀樹さん)。 鎌倉市浄明寺2-7-4
鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム/鎌倉市雪ノ下
通称“カマキン”として愛された日本のモダニズム建築の始点ともいうべき坂倉準三設計の神奈川県立近代美術館の旧鎌倉館。一時は設備の老朽化、耐震不足や維持費、借地の返還期限などの問題から取り壊しが検討されていましたが、市民の保存運動もあって耐震工事などを施し、鎌倉文華館として2019年にリニューアル開館。 リニューアル工事は坂倉建築研究所が手掛け、原型を尊重した改修工事として当時の姿を極力変えない施工に。今でも池の反射光を受けるピロティや中庭、水平性が強調された外観などにカマキンらしさを感じられます。 以前、新館増築の際にアプローチが変更されて正面玄関の大階段が裏手になってしまいましたが、増築部を取り壊してプリミティブな状態に戻したので、アプローチも戻してほしかったという思いもありますが、リニューアル後もその建築を十分に楽しめます(石井秀樹さん)。 鎌倉市雪ノ下2-1-53
鎌倉歴史文化交流館/鎌倉市扇ガ谷
世界的建築家のノーマン・フォスターが設計した個人邸を博物館にリノベーションした建築。フォスターの作品を見られるというだけでも興味がわきます。 前述のやぐらが敷地内に点在し、そのやぐらと洞窟の関係をコンセプトにした石張りの平行壁で構成されています。暗がりの先にやぐらが見えるように計画されていたり、細い通路の先に広がる空間で連続したやぐらが見えるようになっていたりと、その意図が感じとれます。 ただ、コンセプチュアルな壁が自然の岩肌と内部空間を隔離するようにも感じられました。これは日本人的な自然のとらえ方とヨーロッパ人のそれとの差ではないか、などと想像しながらこの地の捉え方の違いを考えてみるのも楽しい。 ここで展示されている鎌倉の歴史は古代から近代までを表現していて、誰もが期待する古代の鎌倉の歴史からその後の衰退など、本当の鎌倉の姿を感じられるので地域を理解するにはよいと思います(石井秀樹さん)。 鎌倉市扇ガ谷1-5-1
釈迦堂切通/鎌倉市大町
鎌倉七切通しはより整備されているので、山を切り開いたかつての切通感を感じられるスポットとしては、釈迦堂切通があります。 鎌倉への進入路としての切通とは違うものの、鎌倉時代に山が切り開かれて自然の要塞となったその趣をイメージできるかもしれません。 現在は崩落対策工事を行っていて2026年まで通行できませんが、再開時に体感していただきたい場所です(石井秀樹さん)。 鎌倉市大町6丁目