ギネス公認「世界一高いスカイツリー」…じつは、「6世紀以来の日本技術」で建てられている、という驚きの事実
世界初の、最古の技術!?
じつは、東京スカイツリーに使われているのは“現代日本の最先端技術”だけではない。 2011年3月11日に発生した東日本大震災(「3・11」)のすさまじさは、いまだ記憶に生々しく残っているが、“地震国”日本の高層建築技術の中で最も重視されるのは、いうまでもなく免震、制振構造技術であろう。 免震構造とは、地震のエネルギーをできるだけ建物に取り込まないようにする工夫で、地盤と建物との間に「ある機構」を挿入することによって、地震エネルギーの伝播を抑制する構造のことである。また、制振構造とは、建物の揺れを制振機構の導入によって抑制しようとする構造のことで、主に風に対する揺れや地震時の揺れを防ぐ目的をもっている。 東京スカイツリーには、塔のど真ん中に鉄筋コンクリート製、高さ375メートルの“心柱(しんばしら)”を挿入した「世界初」の制振システムが使われている(図「東京スカイツリーの制振機構“心柱”」)。この心柱の下3分の1はツリー本体に固定され、上3分の2がツリー本体とは分離しており、地震や強風で本体が揺れる際に、本体とは異なる動きをして、結果的にツリー全体の揺れを抑えるはたらきを果たす。 いま、私はこの“心柱制振システム”を「世界初」と書いたのであるが、じつは、このような“心柱制振システム”は、以下に詳しく述べるように、現存する世界最古の木造建築である法隆寺五重塔をはじめとする日本古来の木塔(五重塔、三重塔など)に必ず使われた「古代日本が誇る伝統的技術」なのである。
私が好きな五重塔
五重塔に代表される仏塔の姿、形の美しさにはうっとりするばかりである。その構造の巧みさ、雄大さを知れば知るほど、そのような仏塔を建てた古(いにしえ)の宮大工に畏敬の念を抱かざるを得ない。 私が実際に見たことがある仏塔の中で、個々に名を挙げれば、奈良・薬師寺の東塔、室生寺の五重塔、京都・醍醐寺の五重塔、山口・瑠璃光寺の五重塔などが好きだ。また、日本最大の(最も高い)京都・教王護国寺(東寺)の五重塔は何度見ても、その迫力に圧倒される。 古刹(こさつ)というわけではないが、青森市にある青龍寺の五重塔(図「青森・青龍寺五重塔」)は特筆に値する。1996年10月に落慶法要をした新しい五重塔であるが、青森檜葉(ひば)の無垢(むく)の木肌がまことに美しい。 日本古来の木造建築技術をもつ数少ない一人であった大室勝四郎棟梁が渾身の想いで建てた総高39.1メートルの、現代の堂々たる木造五重塔である。 高さとしては、前記の東寺(54.8メートル)、興福寺(50.8メートル)、香川・善通寺(45.5メートル)に次ぎ、日本で4番目である。若々しかった青森檜葉の無垢の木肌はいまは味のある飴色に変わったが、杉木立の山を背景に、青龍寺五重塔は凜として立ち、その姿は日本伝統の美を誇っている。 しかし、私が最も魅力を感じる寺といえば、それはやはり法隆寺である。個々の建物とともに、総合的な伽藍(がらん)のすばらしさ、風格となると、法隆寺の右に出る寺はない。また、伽藍のすばらしさとは別に、法隆寺の寺歴・縁起にも興味の尽きないものがある。
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