家では話せるのに、学校では喋れなくなる...ドラマ「放課後カルテ」で注目された「場面緘黙」の子が身近にいたら?専門家に聞く
「話せたときに大げさに褒めてはいけない」のはなぜか
ドラマで言及されていた「話せたときに大げさに褒めてはいけない」ことについて、角田さんは、子ども自身が話す練習に取り組んでいる場合であれば問題ないが、 「(場面緘黙の子どもは)自分が話したらどう反応するだろうと身構えがあるところに、人前で大げさに褒められると、びっくりしちゃう。それで怖がってしまうこともあるので、そこは慎重であるべきだと思います」 と指摘する。褒める場合は、みんなの前ではなく2人で話す機会に褒めることや、話した内容を褒めることを勧める。
子どもの症状に応じた支援が必要
場面緘黙の子どもへの対応についてはどうか。 角田さんは、「その子の状態に応じて学校での対応も変わってくる」と話す。一般的に「こう」というのはなかなか難しい。角田さんが小児科で支援するときには、「学校での行動表出のチェックリスト」を用いてどこから支援すべきかを保護者や先生と共有する。 「話すこと以外に、授業や活動など学校生活への参加が難しい子はそこに対する支援が必要ですし、動作や表現が難しい子は、その動作に対する支援がやっぱり必要です。たとえば、トイレに行けず困っているのであれば、休み時間に先生は全体に声をかけるという対応が必要です。給食が食べられないのであれば、量を調節したり、子どもが自分で減らす方法を先生と確認したり。体育の着替えが難しい場合は、別室や衝立中で着替えることから始めます。学習に支援が必要な子もいます」 そのうえで、不安の低いことからスモールステップでできる行動を積み上げていくことが重要だと説明する。 たとえば、まだ話せる段階ではないにもかかわらず、教室で「話しなさい」などと強制するのはNGだ。「放課後カルテ」の真愛のように、ジェスチャーでの意思表示が難しい場合には、「はい/いいえ」で回答できる質問をして、首をふって答えることを目標にしてもいい。自宅や公園でお友達と、あるいはお店や放課後の教室などで、声が出せるようになってきたら、学校で話すことを促す支援が必要になってくる。 反対に、すでに話せる場面で、ジェスチャーで回答できる「はい/いいえ」の質問をたくさんしてしまうと、話さなくても済んでしまう。これは、支援どころか、子どもの話す機会を奪ってしまうことになる。 角田さんは、「家から一歩出たら全く話せない状態の子もいるし、お友達とは話せたり、お店やお稽古事では話せる段階にいる子もいて、子どもによって症状にバリエーションがあります。その子の状態に応じて支援の仕方が変わってくるということは、知っておいていただけたらなと思います」と話す。