日本に来るフランス人旅行者に「リュック」が多い理由。「最低5週間の有休」が必須なフランス人の旅行観
ご当地グルメ、快適な宿、美しい観光スポット……。私たち日本人が海外旅行をする際は、これらのポイントを押さえつつ、「いかに効率よく旅をするか?」が重要だと思います。目的地が遠いヨーロッパであれば、時間が無駄にならないよう、より計画的に動きたくなるものです。 【写真を見る】フランス人の「質素」な朝ごはん
◆フランス人旅行者に「リュック」が多い理由
フランス在住の筆者も、渡仏前はこのような旅行スタイルをモットーにしていました。しかしそれを見たフランスの友人たちからは、「日本の休暇は短いね」「大変そう」「疲れない?」といった心配の声が。せっせと忙しく動き回る旅行スタイルは、フランス人の目には少し異様に映ったようです。 確かに、日本を訪れるフランス人旅行者を見ていると、リュックサックにスニーカーというハイキングのような装いで、長い距離をひたすら歩いている姿が目立ちます。タクシーもほとんど利用せず、移動の際は公共交通機関と徒歩を組み合わせるスタイル。こうした行動は、フランス人の旅行観を象徴したものだと言えるでしょう。 実はフランスでは、年間で「最低5週間の有給休暇取得」が法律で定められているため、1度に2~3週間のまとまった休みを取るのが一般的となっています。祝日も日本に比べて少ないので、日本人の「短期集中型」とは違い、「長期滞在型」の旅を好む傾向にあるのです。 数週間にもおよぶバカンスに、「時間を持て余すのでは?」と思われるかもしれません。ですが彼らにとっては、短い旅行の方がよほど疲れてしまうのだとか。例えば、日本人であれば日帰り可能な「国内スキー旅行」にも、フランス人は1週間ほどの休みを取ってのんびりと向かいます。日帰り旅行は、フランス人が特に行きたがらない旅行スタイルなのです。
◆旅行中の食事は「自炊」が基本?
気になるのは、それほど長い休みの間、食事はどうしているのか? という点です。 旅先ではレストランや食べ歩きなど、ご当地グルメをとことん楽しみたいもの。ところがフランス人は、旅先でも自炊をするケースが多いことをご存じでしょうか。旅行中はグルメが一番の楽しみだと思いますが、フランス人にはその習慣がほとんどないのです。 宿泊先として選ぶのは、キッチン付きの民泊施設かゲストハウス。日本人からすると、「旅先で洗い物なんてしたくない」と思ってしまいます。 それでもフランス人は、現地のスーパーで地元の人々と同じように買い物をし、その土地で暮らすかのように日々の食事を作っています。「節約」も重要なポイントで、フランス人には「せっかくだからぜいたくな旅を」という感覚があまりありません。 旅行中も質素な生活を続ける彼らには、筆者も「もったいない」と感じたものです。40~50代になってもその姿勢が変わらないのですから。しかし7年近くフランス人と暮らして分かったことは、「そもそも旅の目的が日本人と全然違う」という点です。