オリックス・紅林×能見氏「新春対談・後編」 25年の“珍公約”は「1日1回、マウンドに行く!」
オリックス・紅林弘太郎内野手(22)と、本紙評論家・能見篤史氏(45)の新春対談が実現した。後編では、昨季限りで退任した中嶋聡前監督(55)との知られざる秘話を披露。また、高卒6年目となる今季に向けて能見氏に対して“珍要求”と“珍公約”を掲げた。(取材・構成 阪井 日向) 能見 昨季限りで中嶋前監督が退任(※1)された。選手全員、多分予想していなかったと思うけど、正直どういう思いだった? 紅林 退くと言われた瞬間、エッ!?と思って…。普通に監督を続けられると思っていたんですけど、急に辞めると言われて…。正直、頭が真っ白になりましたね。 能見 中嶋前監督とは、そこから会話はしていない? 紅林 「辞める」と言われたのは仙台のホテルでした。すぐに宮城と一緒に監督の部屋に行きました。“ありがとうございました”と伝えて、ちょっと話しました。凄くスッキリされた表情で、「頑張れよ」って言われて…。怒られてばかりで、そんな声をかけられたことがなかったので、うれしかったです。初めて優しい中嶋監督を見て、泣きそうになりました。 能見 ただ、怒られても、ほったらかしにされることはなかったよね。 紅林 後々考えてみたら、凄く気にかけてもらって、試合もたくさん使ってもらいましたし、本当にありがたいなと。ただ、当時は本当に怖すぎて…。 能見 そんなに?怒られているところを見たことはないからね。 紅林 めちゃくちゃ怒鳴られましたし、真剣に怒っていただきました。今になって、本当にありがたかったなと思います。 能見 本当になんとかなってほしい選手には、真剣に怒っていたんだと思う。 ――以前に、宮城の言動や行動が少しずつ変わってきていると言っていたが? 紅林 宮城は後輩と一緒に練習したり、いろいろ教えたりしています。そんなところは凄いなと。僕は、そんなことはしたことないんで。チームを背負っているというか、後輩のいいお手本になっているなと。僕とは違って…。 能見 比較はしなくていいけど…(笑い)。後輩は結構話しに来たりする? 紅林 全然、来ないですね…(笑い)。怖そうに見えるんですかね? 能見 あまり後輩をイジることもしないでしょ? 紅林 話しかけてきたなと思ったら「ご飯に連れて行ってください」とか「あれ買ってください」とか…。なめられています。 能見 それは、あなたが歩んできた道をそのまま後輩が歩んでいっているということ。チーム内での立ち位置も、どんどん変わってきている。一歩ずつ、後輩が近寄ってこられそうな雰囲気をつくってもらえたらなと思うよ。 紅林 やっぱり、孤高の天才感が出てしまっているのかなと。 能見 天才?孤高って漢字で書ける(笑い)? 紅林 すみません、ふざけました。口だけじゃなくて、行動で示します。 能見 最後に、25年の公約を聞かせてほしい。 紅林 その前に、能見さんにお願いがあります。球場に来られた時に、“もう(打率が)2割5分まで落ちてきたな”とかの声かけではなくて、もう少し鼓舞してほしいなと。本当に、(気にしていることを)笑顔で言ってくるんで…。 能見 現実的に数字が出ているんで、それを伝えてあげているだけ。凄く気にしているね。じゃあ、優しい感じでいくわ。 紅林 現代っ子なんで、今の時代に合わせた感じでお願いします! 能見 さて、公約は? 紅林 公約は…決まりました!1日1回、マウンドに行く! 能見 どれだけピンチを招いているんだよ!それ(笑い)。 紅林 むやみやたらに行っても仕方ないと思うんですけど、タイミングを見計らって。そういう姿から、チームを引っ張っていきたいと思います。 能見 投手の性格をしっかり把握すること。真面目に声をかけられても、聞いてないからね。“暇すぎてあくびしているんですけど、後ろに打たせてもらっていいですか?”くらいにニュアンスを変えてあげると、耳に入る。 紅林 なるほど。勉強になります!全力で頑張ります。 (※1)昨年10月6日、中嶋監督の退任表明を受け、球団は内部昇格を軸に後任を選定。7日時点ですでに岸田投手コーチに監督就任の打診があったとみられる。9日に正式発表。11日の就任会見で福良淳一GMは要請理由について「生え抜きで、選手のこともわかっていることが一番大きい」と明かしている。 ◇紅林 弘太郎(くればやし・こうたろう)2002年(平14)2月7日生まれ、静岡県出身の22歳。駿河総合高では1年夏から正遊撃手で、3年夏は静岡大会準優勝で甲子園出場なし。19年ドラフト2位でオリックス入団。強肩強打の大型遊撃手として、2年目の21年に球団では初の10代で2桁本塁打を達成。23年はリーグ3連覇に貢献し、初のベストナイン。24年プレミア12日本代表。1メートル87、94キロ。右投げ右打ち。 ◇能見 篤史(のうみ・あつし)1979年(昭54)5月28日生まれ、兵庫県出身の45歳。鳥取城北高、大阪ガスを経て04年ドラフト自由枠で阪神に入団。12年に172奪三振でタイトル獲得。21年にオリックスへ移籍すると、投手コーチ兼任でV2に貢献し22年引退。通算474試合で104勝93敗4セーブ、防御率3.35。23年から野球評論家として活動。24年12月、侍ジャパントップチームの投手コーチに就任。13年WBC日本代表。左投げ左打ち。 ○…スポニチでは3日付で前編、4日付で後編を紙面掲載したオリックス・紅林と本紙評論家・能見氏の対談の模様を動画でも配信。スポニチ公式YouTubeチャンネル「スポニチチャンネル」上で公開中。ぜひ、こちらもご覧ください。