春の最多優勝誇る名門・東邦 創立100年の節目に聖地へ センバツ出場校紹介
歴代最多優勝5回の名門が、創立100周年の節目に春の聖地に帰ってくる。4年ぶり31回目となる東邦(愛知)が昨年の東海大会で頂点に立った原動力は、充実した投手陣にある。
最速149キロ右腕に安定感
エースの宮國凌空(2年)は安定感が光る。昨秋は肩に不安があり、球威を抑えてコースを突く丁寧な投球を心がけて試合を作った。冬は1月末までノースロー調整をした。最速149キロの速球を武器に緩急自在のピッチングで相手打線を封じる。東海大会決勝では、8回106球を投げ、被安打4、与四死球1の熱投を見せた。
1年からベンチ入りするプロ注目右腕は常時130キロ台後半から140キロ台前半の直球に緩いカーブやスライダー、フォークなどの変化球を織り交ぜ、狙い球を絞らせない投球が持ち味。最も得意な変化球はスプリットで、カウントを稼ぐのに有効という。得意球を生かして球数を減らす配球をしようと、研究に努めている。 リリーフとして支えるのは岡本だ。右翼のレギュラーだが、ピンチの時にはマウンドに上がり、相手を抑え込む。140㌔台の直球とスライダーが持ち味だが、同様に優れているのが「ピンチの時は、自分に出番が来いと思っています」と胸を張る度胸だ。
打線の中心はプロ選手の弟
東海大会の3試合で計37安打を放った打線の中心はプロ野球中日の石川昂弥の弟で、4番の石川瑛貴(2年)。東海大会の決勝では2安打を含む全5打席で出塁し、ここ一番の勝負強さを見せた。「昂弥に勝っているのはキャプテンシー」と話すように、主将としてチームの精神的な柱となっている。 下位に控える上田耕晟(2年)や藤江壮太(1年)も東海大会でそれぞれ4安打。リードオフマンの中村騎士(2年)ら、東海大会でチーム打率3割8分5厘を誇った切れ目ない打線が強みだ。
平成最後の優勝から4年が過ぎた。令和になって初めての甲子園に向け、自慢の「強力打線」が好調な仕上がりを見せる。2勝すれば中京大中京(愛知)と並び、歴代最多の58勝に到達する。 山田祐輔監督は「東海大会を通じて打力や守りの仕上がりに磨きがかかった。春はその成果を思う存分発揮したい」と意気込んでいる。
センバツ優勝は5回
1923年東邦商業学校として開校し、今年が創立100周年の節目を迎える。「真に信頼して事を任せうる人格の育成」を建学の精神とし、校訓は「真面目」。48年、新学制により現校名に変更。85年に男女共学化し、2015年に商業科が募集を停止、現在は普通科と美術科がある。 野球部の創部は1930年。甲子園には春30回、夏17回の計47回出場。春は34年に初出場初優勝を果たし、39年と41年にも優勝。平成最初の89年と平成最後の2019年にも王者となり、センバツの優勝回数は全国最多の5回。 主なOBに元巨人の山倉和博や中日の藤嶋健人、JR東海元監督でNHK高校野球解説でおなじみだった大矢正成さんら。