ケネディ暗殺50年 JFKとオバマ大統領はどこが違う?
11月15日、キャロライン・ケネディ氏が米国の駐日大使に着任しました。米国初の女性駐日大使は、1963年11月22日に暗殺されたジョン・F.ケネディ(JFK)大統領の長女で、選挙中からオバマ大統領を積極的に支持してきました。この大使人事が象徴するように、暗殺事件から今年で50年を迎える故ケネディ大統領はオバマ大統領との結びつきが深いのですが、さらに両者には多くの共通点があります。【国際政治学者・六辻彰二】 [写真] テレビ演説をするケネディ大統領
若きアウトサイダー
二人はいずれも、米国社会の主流と異なる出身でありながら、若くして大統領になりました。JFKはアイルランド系カトリック信者として初めて、オバマ氏はアフリカ系として初めて、それぞれ43歳、47歳のときに大統領に就任しています。 若いアウトサイダーが大統領になれた一つの要因は、幅広い有権者に直接アピールするイメージ戦略にありました。1960年の米国大統領選挙で、初めて行われたテレビ討論会はJFKの若さや力強さを印象付け、共和党のニクソン候補を破る大きな要因になりました。
幅広い支持を集める点で、オバマ氏も同様です。スピーチの上手さには定評があり、有名な‘Yes,we can’のようにメッセージを明確に伝えることが得意です。また、オバマ氏のツイッターはほぼ毎日更新されており、2013年11月16日現在で約3993万人にフォローされています。
弱者やマイノリティへの配慮
国内政策で比べると、JFKとオバマ氏は、社会的弱者やマイノリティへの配慮で共通します。JFKの場合、企業や学校での人種差別を禁止することで、1964年の公民権法の成立に道を開きました。一方、オバマ氏は歴代大統領のなかで初めて、同性婚を支持しています。 このような立場を反映して、両者は社会保障の充実を目指した点でも共通します。「ニューフロンティア精神」を掲げたJFKは、教育、医療への連邦政府の支出を増やし、福祉国家の構築を目指しました。オバマ氏もやはり、民間の健康保険が中心の米国で、低所得層が医療を受けにくいなか、全国一律の健康保険制度(オバマケア)を2010年に成立させています。 ただし、これらの政策に対して、自己責任を強調し、さらに伝統的な価値観を尊重する保守派が批判を強めた点でも、両者は共通します。