「なぜ生きているんですか?」がんが完全寛解して送られてきた一通の手紙 元フジ・笠井アナが炎上覚悟で闘病経験を伝え続ける訳
がんが完全寛解したあるとき届いた便箋に、「なぜ、あなたが生きているんですか?」の言葉がしたためられていました。それでも、元フジテレビの笠井信輔さん(60)は情報発信をやめません。大病を患った自分だからこそ「伝えなければいけない役目がある」と、いいます。(全5回中の2回) 【画像】「病室から」情報を発信し続けた笠井さんの闘病生活と支えた家族の写真 ほか(全21枚)
■情報発信は慎重に「受け取り方は人それぞれで」 ── 悪性リンパ腫と診断されてから、笠井さんはインスタで積極的に発信されたそうですね。
笠井さん:がんは進行度によって、ステージ0からステージ4までの5段階に分類されています。私が悪性リンパ腫とわかったときはすでに「ステージ4」と、一番進行している段階でした。しかも、脳に転移しやすい遺伝子異常もあり、通常の治療法は効かないといわれていました。 闘病中は少しでも多くの人の参考になればと、積極的にインスタで情報発信を行っていたんです。情報を伝える際は、毎回、妻に文言をチェックしてもらいました。ちょっとした表現や語尾のニュアンスの違いで、人の受け取り方はまったく変わってくるからです。治療や病気を乗り越えた人と、そうでなかった人との溝は、とても深いんです。
実際、私も全部で6回行う抗がん剤治療の3回目を行うとき、「笠井さん、3回目の治療なんですね。私は6回目が終わるところです。頑張ってください」と応援してもらったことがあります。 そのとき私は応援してもらったことに感謝する一方で、「俺はまだ治療が半分終わったところだよ。もう6回目が終わるなんてうらやましい」とも思ってしまったんです。やっぱり抗がん剤治療はしんどいものなので…。 自分自身でもこうした経験があるから、病気に関して発信することは難しいと身に染みて実感しています。文章で表現する際は、とくに気をつけています。
■退院後「なぜ生きているんですか?」と便箋で… ── 4か月半入院し、完全寛解して8か月後に仕事に復帰してからも、インスタでの情報発信は続けたそうですね。 笠井さん:退院後も情報発信を続けたのは、同じ病気にかかっている人たちに、少しでも希望を感じてもらえたらいい、という思いからでした。自分の病気がわかったとき、調べれば調べるほど「自分はもうダメなんだ」という絶望的な情報しか得られなかったんです。 メディアは亡くなった方の情報は多く発信しますが、乗り越えた方については、あまり触れないので…。でも、実際は私のように完全寛解した人間もいる、同じ病気にかかった人たちに、あきらめないでほしい一心でした。