「なぜ生きているんですか?」がんが完全寛解して送られてきた一通の手紙 元フジ・笠井アナが炎上覚悟で闘病経験を伝え続ける訳
■炎上は怖いけど「当事者として伝える責務がある」 ── 情報発信を続けることに、とても強い思いをお持ちなことが伝わりました。気持ちを伝えるためなら、炎上しても怖くないのでしょうか? 笠井さん:そこまでの強い精神力は持ってないです。炎上は大変ですし、非常に怖いです。とはいえ、炎上したからといって、自分の考え方を180度転換させることはしないつもりです。「これは自分が間違っていた、言いすぎだった。自分の発言によって傷ついた人がいる」場合は、もちろん修正していきます。
どうしてここまで発信することにこだわるかというと、30年間、リポーターを務めてきた経験が大きいです。長年報道に関わってきて感じたのが、報道というのはすべてが「伝聞」なんです。災害や事件などの経験者の方たちにお話を聞き「~ということでした」、「~だそうです」と伝えるのが一般的です。 でも、年間で約100万人、がんになる状況で自分は当事者になりました。報道に関わってきた者が、「直接、自分が思ったこと、経験したこと」を語る立場になったのです。これは報道者として強い責務を抱きながら、行うべきことだと信じています。
PROFILE 笠井信輔さん かさいしんすけ。1987年 早稲田大学を卒業後、フジテレビのアナウンサーに。朝の情報番組「とくダネ!」を20年間担当後、2019年9月末日に33年勤めたフジテレビを退社し、フリーアナウンサーとなるが2カ月後に血液のがんである悪性リンパ種と判明。4か月半の入院、治療の結果「完全寛解」となる。現在、テレビ、ラジオ、講演、がん知識の普及活動など幅広く活動している。 取材・文/齋田多恵 写真提供/笠井 信輔
齋田 多恵