ハリケーン「ヘリーン」が通過したフロリダ州ホースシュービーチの被害状況。

ハリケーン「ヘリーン」がアメリカの複数の州に甚大な被害をもたらした数日後、今度はハリケーン「ミルトン」がフロリダを襲った。 ハリケーンはますます激しくなり、ますます頻繁に来襲し、大きな経済的損失をもたらしている。 ミルトンの被害によって、第4四半期のGDPが押し下げられ、雇用成長も抑制されると見込まれている。 ハリケーン「ヘリーン」がアメリカの複数の州を襲った数日後、今度はハリケーン「ミルトン」がフロリダを襲い、甚大な被害をもたらした。死者数は220人を超えている。 これら2つの出来事は、ますます激しいハリケーンが頻繁に来襲し、経済的損失をもたらすものになることを示している。少なくとも短期的には雇用や経済成長に打撃を与えている。 「ハリケーンは、これまでアメリカが体験した災害の中で、被害総額と1件当たりの平均被害額が最も大きい気象現象だ」と、アメリカ海洋大気庁（NOAA）の気候科学者アダム・スミス（Adam Smith）がBusiness Insiderに語っている。 NOAAのデータによると、アメリカは1980年から2023年8月までに、被害額10億ドル（約1500億円）規模の気象災害に363回見舞われており、その被害総額は2兆6000億ドル（約388兆円）に達している。その半分の1兆3000億ドル（約194兆円）がハリケーンによる被害であり、1回あたりの平均被害額は228億ドル（約3兆4000億円）に達する。また、アメリカ本土を襲うハリケーンの数も、1961年から1970年および1971年から1980年には、それぞれの10年間で12件だったが、2001年から2010年には18件、2011年から2020年には19件と増加している。 ヘリーンがもたらした被害額は340億ドル（約5兆円）と推計されており、ミルトンも数百億ドル規模の被害をもたらす恐れがあると、証券会社ジェフリーズ（Jefferies）のアナリストが報告している。 これまでのハリケーンによる被害額は、2005年の「カトリーナ」が2000億ドルと最も多く、次いで2017年の「ハービー」が1590億ドル、2022年の「イアン」が1190億ドルとなっている。 NOAAのスミスによると、ハリケーンによる被害の増大は、暴風雨による損害を受けやすい価値の高い資産が増えているためだという。また、気候変動による海面温度の上昇がより強力なハリケーンを引き起こし、暖かい空気がより多くの雨をもたらしており、その結果、ハリケーンが急激に大きくなる可能性が高まっているとも指摘している。 ペンシルベニア大学の気候学者マイケル・マン（Michael Mann）がBusiness Insiderに語ったところによると、嵐はますます強力になっており、最大風速は平均約10％上昇し、その結果「破壊力が約33％増加している」という。