韓国で語られる「地下駐車場のEV火災リスク」…「地上化促進」 vs 土地不足「それでも地下」
【08月20日 KOREA WAVE】韓国・仁川の青羅国際都市にある地下駐車場で発生したEVの火災事故を受け、全国で電気自動車(EV)の地下駐車場利用が制限され始めている。専門家は、EV設備を地上に移設するのが現実的でないため、地下空間を前提とした効果的な対策が必要だと指摘している。 慶尚南道は、EV用区画を地上や建物の入り口付近に設置する方針を打ち出し、慶尚北道も「環境に優しい自動車専用駐車区画の火災予防と安全施設支援に関する条例」を制定し、地上化を促進しようとしている。さらに、京畿道安養市のあるマンションでは、住民代表会議の結果、EVの地下駐車場出入りが禁止され、光州市東区のあるマンションでは、地下に設置予定だった充電施設を地上に移設する案が検討されている。 しかし、こうした「地上化」には限界があるとの声もある。大林大学自動車学部のであるキム・ピルス教授「EV設備を閉鎖的な地下空間に置くのは危険だが、都市部の70%が集合住宅である韓国の現状では、今後もEVの設備が地下に配置されるのは避けられない」と述べている。 実際、都市部では土地の利用が限界に達している。ソウル市のデータによれば、2022年末時点で多世帯・集合住宅の駐車場の確保率は63%に過ぎない。つまり、100台中37台は駐車スペースを持たない。駐車場建設に必要な土地も不足しており、ソウル市内では1台分の駐車スペースを確保するのに約1億6000万ウォン(約1600万円)がかかるとされている。私有地を買収して駐車場を建設する場合、その費用はさらに増大する。 EVの数は今後、急速に増加する見込みだ。政府は2030年までにEVを420万台普及させる目標を掲げているが、2023年9月時点での普及台数は50万台を超えたばかり。目標を修正したとしても、現在の7~8倍のEVが都市部で駐車スペースを必要とすることになる。 キム教授は「今後も地下空間を利用せざるを得ないため、火災予防に細心の注意を払う必要がある」と強調している。特に、過充電防止装置が設置されていない全国30万台の低速充電器に対し、速やかに関連装備を導入するべきだと述べた。 また、消防専門家によれば、今回の火災は内燃車であっても同様の被害が発生していた可能性が高く、初期消火設備の充実が重要だと指摘している。ソウル市立大学の消防防災学科教授は「地下で火災が発生した場合、スプリンクラーなどの初期消火が十分でなければ、EVでも内燃車でも大きな被害は避けられない」とし、基本的な消防設備の整備が不可欠であると結論づけた。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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