習近平、「トランプ再登場」にボー然…!電話会談はなく「電報を送っただけ」のセコい対応に込められた中国の困惑と戦々恐々
仮想記者会見で「速攻」の祝意
11月6日、トランプ氏の次期米大統領当選確実が報じられ、本人も勝利宣言を行ったことを受け、中国外交部は北京時間23:30頃、公式サイトにおいて「記者の質問に答える」形でコメントを発表した。それは、「われわれは米国国民の選択を尊重し、トランプ氏の大統領当選を祝賀する」とのただの一言のコメントであって、極めて簡潔にして抑制的なものである。 【写真】これはヤバすぎる…!中国で「100年に一度の大洪水」のようす 現実には外交部は、上述の深夜の時間帯に記者会見を実際に行ったわけではな い。中国外交部は、架空の「記者質問」をわざと設定した上で、それに答える形で祝意を表明したのである。それは、「祝賀」が遅れることを避けたいための臨時措置であり、中国側がトランプ氏にすごく気を遣っていることの証拠である。 その一方、「祝賀コメント」は前述のように、必要最低限の短いものになっている。しかもそれは、トランプ氏の当選を「歓迎」するのでもなく、「米国民の選択を尊重する」云々という。これは、中国は内心ではトランプ当選を決して喜んでいないことを示唆している。 以上のような、トランプ当選に対する中国政府の最初の反応からすれば、彼らは本音としてはトランプ氏の再登場を嫌いながらも、この得体の知れない「怪物」にはすごく気を遣って機嫌を損なわないようにしていることが分かる。
「電話会談」はなし、「電報」だけ
そして、翌日の7日の北京時間の朝、米国のCNNテレビは「習近平主席がトランプ氏に電話で祝意を伝えた」と報じ、日本の一部メディアもそれを援用して「電話会談」と伝えた。だが、その日に行われた中国外務省の定例記者会見で、毛寧報道官は「電話会談」を否定した。外国の記者から二回ほど、「習主席が祝意を伝えたのは電話か電報か」との質問に対し、毛報道官ははっきりと「祝電だ」と答えた。いわゆる「電話会談」とは全くの誤報であることが分かる。 同じ記者会見では毛報道官は、「習主席が祝電を送った」と正式に発表した。そして8日の人民日報は一面で、「習主席祝電」の一部内容を報じた。その中で習主席は「中米が協力することで双方とも利益を得る一方、争えば双方が傷つくと、歴史は示してきました」、「中米関係の安定的な発展が、両国の利益になります」と述べ、トランプ氏に対し、「争わずに仲良くしよう」との意思を表明した。 トランプ当選確実の当日、英国・日本・フランス・ドイツおよびEUの首脳たちが相次いでトランプ氏と電話会談を行った中で、習主席が電話をかけることなく、直接に会話を交わさない「祝電」の形で祝意を伝えたわけである。それはまた、習主席自身、あるいは中国側のトランプ当選に対する屈折した気持ちの表れではないかと思う。つまり、本心ではトランプ当選を嫌い、「怪物」の再登場に戸惑いを感じながら、どう対処するか分からないような状態であるが、その一方、だからこそ「怪物」の機嫌を損なうようなことも極力避けたい。まさに戦々恐々の心境である。