モビルスーツの武器? そう思ったとしても無理はない「シールドビーム」 じつは旧車で必須のアイテムです
現在のクルマのヘッドライトの光源はLEDランプが主流となっていますが、旧車の時代は「シールドビーム」というヘッドライト関連のアイテムの存在は欠かせません。ここでは明るさの追求を課題として進化してきた自動車のヘッドライトの歴史とともに、内容を振り返ってみたいと思います。 【画像】「シールドビーム」旧車では必須のアイテム
最初期のヘッドライトは、灯油を燃やすランプ式
クルマにヘッドライトが装着され出したのは1890年頃です。 初期の頃は灯油を燃やして光源としていました。 その後明るさを高めたアセチレンガスを燃料としたランプに切り替わっていきます。 それらの燃焼系の光源は明るさが足りないこともさることながら、点灯消灯の手間や、燃料漏れなどによる火災が問題になっていました。 その後、1910年頃に初めて電球式のヘッドライトが実用化されます。 当初は電力供給が不安定な面もありましたが、燃焼式よりも明るく扱いやすいことから一気に広まりました。その後しばらくは明るさや耐久性などの安定性の向上が図られて熟成が進みます。 大きな変化があったのは1940年頃でした。 それまでは各社バラバラの筐体に電球を収めたヘッドライトを用いていましたが、アメリカで「シールドビーム」が登場して、ヘッドライトの規格化がおこなわれました。 ちなみにこの頃、欧州ではシールドビームを使わず独自の路線でヘッドライトを設計。角形などデザインの自由度を高め、その影響で角形のシールドビームの登場が促されます。 1960年代になると、光源にハロゲンガスを封入したバルブが登場します。それまでの光源はフィラメントのタングステンが蒸発してバルブの内側に付着し、次第に黒ずんでしまうのが宿命でしたが、ハロゲンガスを封入することによってその現象を抑制。結果として発酵温度が上げられ、明るさを大幅にアップすることができました。 これ以降はバルブ交換式が一般的となり、いろんな形状のヘッドライトが生み出されます。 1990年代の前半には、蛍光管内に高電圧をかけてアーク発行させる方式の「HID」が登場します。HIDは「High Intensity Discharge」の略で、ディスチャージ、キセノンなどなどさまざまな呼び方があります。日本語では「高輝度放電灯」などと呼ばれたこともあります。 それまでのハロゲン比で圧倒的な明るさと独特な青白い色味、そして高い耐久性と省電力性能を備え、一気に流行が広がりました。 そして現在は、発熱が少なく省電力性能に優れたLED光源のヘッドライトが主流となっています。さらには、ハイパワーレーザーダイオードを使って遠方まで光を届けるレーザービーム式も登場しています。 まだまだヘッドライトの進化は続くようです。