モビルスーツの武器? そう思ったとしても無理はない「シールドビーム」 じつは旧車で必須のアイテムです
「シールドビーム」とは、そもそもなんぞや?
1970年代の中盤あたりまでの旧車の顔を思い浮かべてみてください。そのほとんどが丸いヘッドライトを備えていることに気付くでしょう。 あの丸形のヘッドライトユニットが「シールドビーム」です。 クルマの「シールドビーム」の場合、「sealed=遮蔽する覆いや壁、または封じ込めるもの」の意味合いが使われています。つまり何かをランプユニットに封じ込めたものというわけです。 また「beam」については、40代以上の人なら、ヒーローや巨大ロボがおでこや指先などから出す光線のことを連想するかもしれません。クルマでは前方に向けて放たれるヘッドライトの光をビームと呼びます。 「シールドビーム」は1940年頃のアメリカで開発された「規格式ヘッドライト」です。それ以前は各社それぞれの設計で電球を反射板とレンズを備えた筐体に収めていました。 しかしこの方式では部品点数が多いことや電球の負担が大きいこと、整備性の問題などを抱えていました。それらの問題点を解決するために「シールドビーム」が開発されました。 「シールドビーム」の構造を簡単に説明しますと、円錐形の反射板の頂点部分に発光源であるフィラメントを備えています。開口部には対向車や歩行者などがまぶしくないように余計な光を屈折させてカットするレンズでフタをして、全体をガラスで密封しています。中に封じ込めているのは、フィラメントが自身の発する高い熱で劣化しないための不活性ガスです。これによってフィラメントのエネルギーが効率よくビームに変換でき、明るさも増しました。一体化とすることで整備性が増し、フィラメントの劣化問題が緩和されたことで寿命が大幅に延ばされました。 このシールドビームはアメリカの生産車両に装着が義務づけられたことで一気に普及しました。そしてアメリカをターゲットとしていた日本を始めとする他国のメーカーでも採用率が高まっていき、その当時は多くの車のヘッドライトに採用されることとなりました。 規格は丸形の7インチ(約180φ)と4インチ(約100φ)が一般的に使用されていたサイズです。大きい方の7インチが2灯用で、小さい4インチは4灯用として使用されていました。当時のアメリカでは5.75インチサイズもあったようです。そして1960年代の中程には大小2サイズの角形タイプも登場します。