彦根の古民家ギャラリーで「孔版作品で映す昭和の彦根」 地元出版社が開催
彦根の出版社「サンライズ出版」(彦根市鳥居本町)が12月13日、彦根の洋画家・島戸繁さんの旧宅を改装した「Gallery & Cafeぜん」で、創業者・岩根豊秀さんの作品展「孔版作品で映す昭和の彦根」を始めた。(彦根経済新聞) 【写真】実際に使用していた謄写機=孔版作品で映す昭和の彦根 1930(昭和5)年創業で鳥居本町にある同社。かつて銀座商店街にあったマルビシ百貨店の文具部(野村文具店)の一角に出店し、創業者の岩根豊秀さんは、近隣の店や商店街の依頼に応じ、謄写機を使って年賀状やポスターなどを広く手がけていたという。 今回、岩根豊秀さんが謄写機を使って印刷した孔版作品の一部、約30点を展示。1930~1950年代に制作された、彦根にちなんだイベントちらしやポスター、年賀状などを展示している。マルビシ百貨店や銀座商店街がにぎわいと活気に満ちていた頃の彦根の様子が伝わる作品が並ぶ。 謄写印刷(ガリ版)は、細かい穴のある版の裏側からインクをにじみ出させて印刷する印刷方法。展覧会では、実際に使っていた謄写機も展示している。 銀座商店街にあったスワン洋裁の作品展ポスター(=スワン洋裁研究所作品展ポスター)や、1936(昭和11)年「彦根に県庁を」という動きがあった際に豊秀さんが手がけた当時のポスター(=彦根料飲組合県庁移転促進ポスター)、1949(昭和24)年「NHK素人のど自慢」の彦根地区予選が開催された時に作られたポスター(=第2回NHK素人のど自慢全国コンクールポスター)などオリジナルで描かれた作品やデザイン性のある年賀状を展示。謄写印刷独特の風合いと柔らかく温かみが感じられる作品が並ぶ。 長女で、現社長の岩根順子さんは「今は、この時代のものとは建物も雰囲気も変わった」と当時を懐かしむ。「商店街などのにぎわいがあった様子がポスターなどから伝わると思う。若い人には当時の様子を作品から感じて当時に思いをはせてもらい、この時代を知っている方たちには昔のにぎやかさを思い出してもらえれば」と来場を呼びかける。 ギャラリーの一角では「わたしのまちの自費出版」も同時開催。サンライズ出版が手がけた彦根市在住の著者の出版物などを紹介する。 開催期間は12月13日~15日と20日~22日。開催時間は10時~16時。観覧無料。来場者には2007(平成19)年に作られた岩根豊秀さん生誕100年記念図録集「岩根豊秀の仕事場」を進呈する。
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