ECMOで命つなぐ4歳の女の子「絶対助けるからね」両親の思いとは
■肺が石灰化…助かる道は「肺移植」
3月はじめ。なかなか改善しない肺の症状の原因を探るため、エクモをつけたままCT検査が行われました。そこで"肺のほとんどが石灰化している"という深刻な事実がわかったのです。そして両親は医師からこう告げられました。「これ以上エクモをつけるのは延命治療になります」。つまり、治る見込みがないという意味でした。 別の病院によるセカンドオピニオンも同じく厳しいものでした。それでも、両親はのんちゃんの命を諦めることはできないといいます。 「大好きな娘ちゃん。鎮静が弱まると目も開けてくれるし、アイスだよと言うと口もあけてくれます」 「CTスキャンの画像から、先生たちが救命できないという判断をするのは、仕方のないことだと分かりました。それでも脳や心臓が動いて頑張っている娘ちゃんのエクモを止める、すなわち命をとめる、と言われるのは、私は全く理解することができません」(母・恵理さん) のんちゃんを救えるかもしれない方法、それは「肺移植」です。親族の肺を移植する生体肺移植、もしくは脳死肺移植があり、立川さん夫妻は、夫妻の肺の一部をのんちゃんに提供する生体肺移植を希望しています。しかし、この移植にも大きな壁がありました。実はのんちゃんは生まれつき腎臓が悪く、日本のガイドラインでは腎不全を抱える人は肺移植の適用外となり、移植を受けることが難しいというのです。
■「ポッター症候群」とは
のんちゃんには、お母さんのおなかにいる頃から、疾患がありました。のんちゃんを妊娠中、お母さんの子宮の中の羊水が極端に少ないため、検査をしたところ、その時点では、のんちゃんには腎臓がみつからず「ポッター症候群」と診断されました。子宮内の羊水は、ほとんどが胎児の尿からできていて、胎児が羊水を飲み込み、それを尿として排出するという循環を繰り返して、羊水の量を保ちます。「ポッター症候群」は胎児の泌尿器系の疾患で、腎臓がないか、うまく形成されない、あるいは尿が出ないため、「羊水」が少なくなるのです。 「羊水」が少ない状態が長く続くと、お腹の中で胎児が圧迫され、その後の肺の形成にも影響がでるということです。胎児は「羊水を飲み込むこと」で肺呼吸の練習をし、肺を成熟させていきますが、羊水が少ないと、それができず、肺の形成が不十分になります。そのため生後、自発呼吸ができず、呼吸困難となります。 お腹の中ではお母さんからの酸素供給がありますが、生まれた瞬間から赤ちゃんは自力で呼吸をしなければなりません。ポッター症候群と診断されたほとんどの赤ちゃんは、お腹の中で亡くなるか、生まれても自力で呼吸ができず、48時間以内に亡くなるといわれていました。