阿部麗也が再起戦で判定勝ちも「正直しょっぱい試合をしてしまって申し訳ない」中谷潤人の盟友は辛勝
「ボクシング・10回戦」(18日、後楽園ホール) 3月2日に米ニューヨーク州ベローナでIBF世界フェザー級王者(当時)のルイス・アルベルト・ロペスに挑戦するも8回TKOに敗れたIBF6位の阿部麗也(31)=KG大和=が再起戦に臨み、川本響生(21)=吉祥寺鉄拳8=とメインで対戦。8回戦はまだ1試合しか経験していない川本の追い上げを振り切り、判定勝ちした。 【写真】再起戦に判定勝ち しかめた顔が物語る阿部麗也の胸の内 阿倍は左ボディーを軸にコンビネーションで攻め、6回には大量の鼻血を出す川本をメッタ打ちにするなどペースを握ったかに見えたが、川本も最後まで動きが落ちず。最終10回にはビッグショットの被弾も目立ち、バランスを大きく崩す場面もあったが、96-94、97-93、98-92の判定3-0で粘る川本を振り切った。 阿倍は「正直しょっぱい試合をしてしまって申し訳ない」と佐々木健介ばりに陳謝。「いいところを出せないままどんどん進んでしまった」と振り返り、「またすぐ世界とは、今日の試合では言えない」と話した。 バックステージでは「ナメてたというか、意外と(川本の動きが)落ちなかった。終盤楽になってくると思ったが、出てきましたね。思った以上に、この試合にかけていたのを感じましたね。キャリア、知名度以上にくせ者だった。ジャブが良かった」と川本をたたえ、「勝ったってだけですね」と自嘲した。 とはいえ、ロペス戦で「多少パンチをもらっても前に出てこられるのは怖い」と感じたことを試合に応用するなど「やりたいこともちょっとは形としては見せられた」と収穫もあり、「またブラッシュアップして、いいところを伸ばして悪いところを削って、新たな阿部さんを見せられたら。最終章なんで、頑張ろうかなと思います」と闘魂は衰えず。 ロペスからは「自信や生物的な強さなど、スキル以外の強さが大事だな、上に行く人は皆持っているな。それが何より恐怖と感じた」といい、「自分もそういうのができるように」と、シン・阿部麗也の完成に向けて精進する構えだった。 ◇ ◇ 第3試合ではWBC世界バンタム級王者の中谷潤人、WBO世界フライ級王者のアンソニー・オラスクアガの盟友エイドリアン・アルバラード(25)=米国=が日本のリングに初登場し、バンタム級8回戦で東洋太平洋11位のエイドリアン・レラサン(25)=フィリピン=とエイドリアン対決を行った。 最前列で中谷とオラスクアガが声援を飛ばす中、アルバラードは2ラウンドに先制のダウンを奪ったが、レラサンの粘りに遭い、激しい打ち合いでたびたび被弾。採点は77-76が2者、77-74が1者でアルバラードを支持し、2ラウンドのダウンがモノを言った勝利となった。 アルバラードは「もっといい試合を見せられたと思う。実力を全て見せられなかった。自分はもっといい選手だと信じている」と辛勝に反省。「後楽園ホールはアメージング!また日本で戦って、ファンを大勢作って、潤人とトニーの前座でもいいので、いつかまた日本で試合をしたい」と願った。 中谷は「最初はすごくいい立ち上がりで、練習していたことを淡々とやってハマっていたし、ポイントも取れていた。相手の選手もいいパンチを持っていて、緊張感がずっとあった」と振り返り、自分の試合より緊張したかと聞かれると「間違いない」と即答。 後楽園ホールでアルバラードの試合をオラスクアガと見ているというシチュエーションを「想像もしていなかったこと。新鮮すぎる。僕が応援している状況も考えてもみなかった。いい気分で(14日のタイトルマッチと合わせて)今回の締めくくりができた」と喜び、アルバラードの提案した1日で3人が試合するというプランも「怒濤(どとう)ですけど、なしとげたいな。そういうビジョンも日本でやってるエイドリアンを見て、より強くなった」と前向きに応じていた。 中谷自身は週明けに練習を再開するという。