吉田鋼太郎「80代になってもまだカッコよくいようとしている自分の顔を見てみたい」
ライフワークとも言うべきシェイクスピア劇の新シリーズ(【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】)を、演出・上演台本と出演の二刀流でスタートさせる吉田鋼太郎さん。どのように今の自分を築いてきたのか、お話を伺いました。
シェイクスピアに関しては演出も出演もしたいとずっと思ってきた
まさに男の貌(かお)。撮影のためにカメラを睨んでいただいた吉田鋼太郎さんの顔は、生きてきた濃厚な時間が滲み出た、力強くも艶っぽい表情が印象的でした。 人の生き様は顔に出るとも言いますが、果たしてご本人はご自分の顔をどのように思っているのでしょう? ── 吉田さんにとって顔は商売道具でもあると思いますが、特別な思いがありますか?
吉田鋼太郎さん(以下、吉田) それは役者をやっていますから思いはあります。これまで自分なりに人生を生きてきて、その人生が刻まれた顔になっているとはまったく思わないんですけれど(笑)、若い頃の顔と比べると、あごの筋肉が発達したりて、顔が大きく見えてきている気がして、嫌だなと思いながらいつも鏡を見ています(笑)。しょうもない話ですいません。 ── ひどく謙遜されていますが(笑)、では、これからでも目指したい顔があるとしたらどんな顔でしょう。 吉田 う~ん、そうだなぁ……やっぱり老いた自分を見るのは基本的にしんどいと思うんです。でも80代になった時に、まだカッコよくいようとしている自分がいるのか、いないのか……。 それは別に人生が刻み込まれた顔になるとかならないではなく、80代になってもまだ一生懸命頑張って、カッコよくいようとしている自分の顔を見てみたい気はしますね。お前、まだカッコよくいようと思って頑張ってるな、という顔であるといいなと思います。
── 現在の年齢についてはどう考えていますか? 想像していた60代と違うところはありますか。 吉田 今65歳で、体力的にももっと落ちるのかなと思っていましたけれど、あまり変わらないので、そこはちょっとうれしいですね。こんなにありがたいことはないなと思いながら、70代に突入しても今の感じでいけるんじゃないかなという気がしています。 ── そんな吉田さんがライフワークにしているシェイクスピアの新シリーズ【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】が始まります。「シェイクスピア作品の中でも一番好き」と仰る『ハムレット』の演出と上演台本を担当。ご自身もハムレットの父を暗殺した叔父・クローディアス役で出演されますが、まずは演出と出演という二刀流って、大変ではないですか?