とっとと出ていきな!クリスマスイブに押しかけてきた〈食い尽くし系〉の兄に〈82歳母〉ついに爆発…そのうち〈夫婦の財産1億3,000万円〉も食い尽くされるかもと52歳男性が怯えるワケ【相続の専門家が解説】
夫婦の財産は1億3,000万円
さて、和也さん夫婦は両親と同居していますが、子どもはおらず、夫婦ともにずっと仕事をしてきました。和也さんの妻も和也さんも公務員で安定した職場にいるため、ある程度の預金があります。和也さんは同居する前に購入した家があり、現在は賃貸に出しています。また妻も親から相続した家があり、それも賃貸に出しています。 二人の財産を合わせると2軒の家と預金で1億3,000万円ほどになります。お互いに配偶者ですので1億6,000万円までは特例により相続税の納税は不要ですが、問題は相続人にあの兄が関係するということです。子どもがいない場合、親が健在であれば親が相続人ですが、親が亡くなっている場合は兄が相続人となり4分の1の権利となります。
兄を排除したい
和也さんは。今までの親に対する兄の言動、親の財産は充分に渡していると言えることや和也さん夫婦の財産形成に兄が貢献してきたことはないため、兄に財産を分けるつもりは一切ありません。クリスマスイブの大騒動でその思いをより一層強くしました。 そこで、自分たち夫婦の相続では兄が相続人となることがないようにするための遺言書をお勧めしました。夫婦ともに「全財産を配偶者に相続させる」という内容の遺言書を作成しておくことで、兄が相続する権利を排除できます。兄弟姉妹には遺留分の請求権がないため、遺言書があれば兄の相続人の立場を排除できるのです。
内容はシンプル
遺言書の内容はシンプルでよく、財産の詳細を書かなくても「全財産」という表現で作成できます。また、互いに「配偶者に相続させる」という文言でいいのです。間違いのない公正証書遺言がおススメで、当社でお二人の証人をお引き受けすることで遺言書ができあがりました。これで安心と和也さんご夫婦は一安心されたのでした。 今年は和也さん一家が、家族で平和なクリスマスイブを迎えられることを願っています。 ◆相続実務士のアドバイス ●できる対策 夫婦で遺言書を作成する。 「配偶者に全財産を相続させる」という文言でよい。 ●注意ポイント 兄弟姉妹には遺留分の請求権がないため、兄は請求してくることはない。 遺言書が必須なので、早めに作成しておくことが望ましい。 ※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子