悩めるTG4番の大山と岡本…“本塁打スランプ“を先に脱出するのは?
前阪神2軍チーフコーチで評論家の高代延博氏は、「投手側に極端にバットのヘッドを向けて、大きな反動を使う現在の打撃フォームでは、どうしてもバットが遠回りしてタイミングを合わせる確率が落ちる。外の変化球に体が開き、内のボールに差し込まれるという悪循環。差し込まれることを嫌がり、強く振ろうとするので、後ろが大きくなってボールに入るバットの角度が悪い。打球に角度がつかずに本塁打が出ないのは、それが原因だと思う。まず打撃フォームをもう一度、整理する必要があるのではないか」と指摘した。 一方、巨人の4番のスランプは、さらに深刻だ。この日も4タコ。8回の第4打席には、石井大のど真ん中のシンカーを打ち損じてファウルにしてしまい、最後は149キロの高めのつり球にひっかかった。一塁ファウルゾーンへフライを打ち上げ、これをマルテが後ろ向きで好捕した。打率.159、4打点の成績もさることながら岡本も47打席ホームランなし。昨年は、阪神との開幕第3戦でガルシアから価値ある逆転の第1号2ランを放っていたが、今季はフェンス際で打球にもうひと伸びがない。岡本も大山同様に打撃フォームに狂いが生じている。 インパクトに向かうステップで、左足が着地すると同時にもうグリップが動いてしまっている。いわゆるバッティングに不可欠な「間」や「ねじれ」の時間というものを岡本は作れていない。 今春のキャンプで、原監督は、日本シリーズで4タテを食らったソフトバンク戦の反省から、そのパワーボールに対抗するためにフリー打撃では打撃投手に通常よりも5メートル手前から投げさせていた。一部の球界OBからは、「金属バットならまだしもプロに速いボールを打たせるのは逆効果。打ち急ぎ、間が作れなくなる」と、その練習の悪影響が出ているのではないか、という指摘もある。 3冠王の落合博満氏や本塁打王の掛布雅之氏ら往年の大打者はむしろ逆で、打撃練習ではスローカーブなど緩いボールを打っていた。 大山か、岡本か…。先に”本塁打スランプ”を脱出するのはどちらなのか。 高代氏は、「岡本もドアスイング気味になっていて甘い球を打ち損じているが、一時期に比べると、まだバットの出に改善の兆しは見えている。大山とは違って岡本のいい部分は打撃フォームにクセがないこと。こういう打者は修正能力が高い。可能性としては、岡本の方が先に今の状況を脱するように思えるのだが…」という意見。 阪神は今日から敵地に移動して横浜DeNAとの3連戦、巨人もアウェーで広島との3連戦となっている。 大山の昨年の対横浜DeNA戦績は、打率.398、5本塁打と、お得意様にしており、先発予定の浜口からは本塁打こそなかったが、4打数3安打と相性がいい。 一方の岡本の昨年の対広島戦成績は、打率.256、7本塁打。先発予定の大瀬良には、4打数0安打と完璧に抑え込まれている。首位を争うTGの悩める両主砲…先に目覚めるのは…果たして…。