【オーストラリア】豪NZ、再生航空燃料の確保が急務に
オーストラリアとニュージーランド(NZ)で、持続可能な航空燃料(SAF)の生産と確保が喫緊の課題となっている。オーストラリアでは、空路による長距離移動の気候変動への影響に対して懸念が強まり、ビジネス会議やイベントの機会を逃しているという。一方NZ航空は、SAFの調達に向け海外のサプライヤー探しを開始した。 SAFは農業廃棄物などから作られ、航空機の二酸化炭素(CO2)排出量を削減する最も実用的な方法だとみられている。ただ、オーストラリアとNZではまだ国内生産されていない。 全国紙オーストラリアンによると、業界団体、観光・運輸フォーラム(TTF)の調べでは、空路での移動に際しCO2排出量を削減することは重要だと考えている人の割合は82%に上った。 TTFのチーフエグゼクティブ、オズモンド氏は、「オーストラリアは欧州のように高速鉄道がないため、航空機による移動が今後も必要不可欠だ」と指摘。SAFがなければ、先月大旋風を巻き起こした米人気歌手テイラー・スウィフトさんの公演など、観光業界に多大な恩恵をもたらすイベントの開催数が減ると警告した。 オーストラリアでは先週、出光興産がSAF生産を手がける地場企業ジェットゼロ・オーストラリアに出資したと発表。国内のSAFサプライチェーン(供給網)構築を後押ししている。 ■NZでは事業化調査も 地元紙NZヘラルドによると、NZ航空は年間13億リットルの航空燃料を使用しており、このうち20%をSAFに置き換えたい考え。 NZ航空とNZ政府はこれまでに、国内のSAFの事業化調査2件に投資しており、政府は年内にもSAFを含む脱炭素計画を発表する見通し。 世界の航空燃料供給に占めるSAFの割合は1%未満と極めて少ない。NZでは、国内生産が可能になったとしても外国産の確保が必要不可欠だと指摘されている。