全国約6割の地方議会が議員個人の賛否を公開、東京都議会は公開せず
全国地方議会の約6割、議員個人の賛否行動公開
他の地方議会はどのようになっているのでしょうか。 早稲田大学マニフェスト研究所が全国の地方議会を対象に行った「議会改革度調査2016」によると、議案に対する議員個人の賛否結果について、議会だよりなどの紙媒体では約6割、インターネットでは半数近い48%の議会が公開しました。その一方で、都議会のように非公開の議会も3分の1ありますが、議員個人レベルの賛否を明らかにすることが流れになってきているようです。 賛否結果の公表について、議会改革にくわしい山梨学院大学法学部・江藤俊昭教授(61)は、「議員個人であれ、会派であれ、賛否結果を公表するのは意義あること」と話します。その上で「会派名だけではどのような集団なのかわかりにくい市区町村議会とは異なり、都道府県議会では、国政政党が会派をつくる場合が多いので、住民にも会派がわかりやすく、会派の方針に逆らう議員もまれなので、会派ごとの賛否の公表でも明らかにしないよりはベターだと思う」と一定の理解を示しています。 ただし、「単に議決結果だけでは、審議の過程でどのような議論が行われたのかがわからない。議会というものは論点を明確にする場であり、そういう点をもっとしっかり伝えるべきだ」と指摘。賛成・反対にいたった理由を明らかにすることなどの課題を指摘しています。 都議会事務局によると、議会の議決結果の公表の仕方は、「特に規則はない」ため、各地方議会の判断にゆだねられています。 都議会では8月、都民ファーストの提案により、議会改革について話し合う「議会改革検討委員会」が設置されました。「同委員会ではこれから検討するテーマの整理を行っている最中。委員から提案があれば、議決結果の公表のあり方もテーマの1つに上がるだろうが、現時点で実際に検討されるか否かは不明」(都議会事務局)といいます。 早稲田大学マニフェスト研究所の「議会改革度調査2016」では都道府県議会ランキングで47議会中36位と改革の遅れが指摘されている都議会。もっとも肝心である議場でどのように行動したかを、どのように都民に伝えていくことになるのか、注視されます。 (取材・文:具志堅浩二)