全国約6割の地方議会が議員個人の賛否を公開、東京都議会は公開せず
新たに選出された議員による東京都議会の初めての定例会は5日閉会しました。会期中は46件の議案が審議されましたが、都議会のホームページで議決結果を確認しても、それぞれの議員がどの議案に賛成、あるいは反対したのかは記されていません。 全国では約6割の地方議会が議員個人の賛否を公開するなど、議会の情報公開のひとつのあり方として定着しつつあります。選挙公約で閉鎖的な都議会の「議会改革」を掲げた都民ファーストの会が第1党になりましたが、議員個人の議決行動が非公表のままとなっています。
記名投票のときだけ議員個人の賛否を記録
都議会事務局によると、会派ごとの賛否は、都民に配布する「都議会だより」に掲載しています。この都議会だよりは都議会ホームページからダウンロードすることができます。 都議会で採用されている採決方法は、「記名投票」のほか、賛成者が起立する「起立表決」、無記名で投票する「無記名投票」、議長が異議の有無を問う「簡易表決」の4種類があります。しかし、議員数127人と全国最大の地方議会である都議会では、正確な賛成、反対の数を把握する必要がなく、進行に時間がかからない起立表決か簡易表決で採決することがほとんどになっています。 そのため、採決は短時間で行われますので、仮に会議を傍聴していても、起立表決の時に全議員の賛否を目視で把握するのは困難です。議員の起立時間はわずか数秒。議員座席表と議場を交互に見て確認を試みても、すぐに議員たちは着席するため、結局誰が賛成し、反対したのか完全に把握しきれないケースが大半です。実際、都議会事務局でも、起立表決時における各会派の賛否について、問い合わせがあればネット配信した本会議の映像データを確認して回答することもあるそうです。 ただ、議員個々の賛否行動がまったく明らかになっていないわけではありません。「記名投票」の実施時にはホームページにも掲載している会議録に、議員個人の賛否結果を載せるといいます。しかし、会議録を調べてみると、もっとも直近に行われた記名採決は、2011年7月の第2回定例会までさかのぼることになります。 このときは、東日本大震災を受け、当時の民主党などが提出した、都民や事業者、都が協力して省エネに努める「東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例」という政策型の議員提案条例の採決と、新銀行東京に関する特別委員会・東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会の閉会中の継続調査をめぐり、賛成・反対それぞれの議員数が拮抗。どちらも記名採決を実施した結果、賛否同数となり、議長の裁決で可決したという経緯があります。 つまり、都議会では賛成反対の数がよほど競っているとき以外は、会派としての賛否行動で把握しているということです。個人の信念で賛否を決める、会派側にとっては方針に従わない造反議員はいないという前提に立っているようにもみえます。