シューマッハがテストドライブした由緒正しいランボルギーニ「ディアブロVT」の価格は? 5000万円でも落札されず…ひょっとしたら今が買い時!?
1993年には4駆モデルも登場し、さらなる注目を集める
しかしサンタアガタ・ボロネーゼの攻勢は、それだけには終わらなかった。1992年には、1993年モデルとして、のちにランボルギーニ全モデルでデフォルトとなる4WDモデル「VT」が登場したことで、ランボルギーニは子どもの頃の寝室に貼られたポスターのようなエキゾチックな存在から、テクノロジー面でも世界の最先端に躍り出るのだ。 「VT」とは「ヴィスカス・トラクション」のイニシャル。前輪と後輪のパワーを分割するドライブトレインのカップリングにちなんだ。通常時は後輪のみが駆動されるが、トラクションが失われた場合、利用可能なパワーの最大25%が前輪に供給されることになっている。 ランボルギーニとしてはクロスカントリーカー「LM002」以来となるAWDシステムは、オンロード用スーパーカーであるディアブロでも、優れたトラクションと加速を実現。以前は華麗なスタイリングと、非現実的なパフォーマンスを身上としていたランボルギーニに、飛躍的な技術的ソフィスティケートをもたらしたのだ。
ランボルギーニ・ポロストリコの承認も取得した個体ながら……
このほどRMサザビーズ「Monterey 2024」オークションに出品されたランボルギーニ ディアブロVTは、シャシーナンバー「12970」。 1993年12月3日に完成したとされるこの個体は、「シルバーミスト」のボディに「ネロ(黒)」のレザートリムの組み合わせで仕上げられ、電動ウインドウやエアコン、日本の「アルパイン」社製カセットステレオシステムが装備されていた。 サンタアガタ工場からラインオフしたのち、シャシーナンバー12970はランボルギーニ本社所属のプレスカーの1台となり、多くのテストやトライアルに使用された。1994年、F1チャンピオンのミハエル・シューマッハがドイツの雑誌『Auto Bild』でステアリングを握ったことは、当時大きな話題となったようだ。 テストコースにて、同時代のほかのスーパーカーを圧倒したシューマッハは、このクルマのパワーデリバリーとサウンド、ハンドリングに感銘を受け、「見た目よりも文化的」とコメントした。シューマッハのドライビングについて記した当時のプレス資料の切り抜きも、今回の販売に含まれている。 ランボルギーニ広報部から個人オーナーの手に渡って以来、このクルマの名義人はわずか2人とされているそうで、現時点でも極めて良好な保存状態が保たれているという。 2021年3月には、オランダ・ディルクスランドにある「アンドレ・ノウト・クラシックカー・サービス」社の技術者によって、かなり大規模な整備が施されたとのこと。 この時にはエンジンオイルとフィルターの交換、新品のスパークプラグ、油圧センサー、ウォームアップ・レギュレーター、エンジンとインジェクションギャラリーのクリーニングなどが行われたと記録されている。さらに最近では、2024年7月に「ランボルギーニ・マイアミ」社によるサービスが行われ、新品のピレリP-Zeroタイヤが装着された。 このサービスが施行されたのち、ディアブロは「ランボルギーニ・ポロストリコ」に提出され、同チームによる正統性の認定を受けた。 また、純正レザーウォレットにくるまれたサービスブックレットやファクトリーパンフレット、オーナーズマニュアルコレクションも、今回の販売に際して添付されることになっていた。
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