CEATECアワード大臣賞、ViXionの次世代アイウェアが総務 シャープの電子ペーパーディスプレーは経産、デジタルはCalTa
デジタルイノベーションの総合展「CEATEC2024」が15日に開幕するのに先立ち、主催する電子情報技術産業協会(JEITA)は10日、優れた技術や製品を表彰する「CEATECアワード2024」の受賞企業・団体を発表した。総務大臣賞は視覚用デバイス開発のViXion(ヴィクシオン)、経済産業大臣賞はシャープ、デジタル大臣賞はデジタル画像サービスを展開するCalTa(カルタ)が選ばれた。今年は、CEATEC25周年を記念し特別賞が設けられ、NECが受賞した。 【関連写真】総務大臣賞を受賞したViXionの次世代アイウェア「ViXion01S」 総務大臣賞に輝いたViXionは、眼のピント調節機能を代替・拡張する次世代アイウェア「ViXion01S」を開発したスタートアップ企業。センサーが対象物までの距離を測定し、独自のアルゴリズムによって特殊レンズの形を瞬時に変えることでピントを調節する。弱視だけでなく、老眼や近視など視覚に課題を感じる人が増える中、社会に必要な技術として評価された。 経産大臣賞には、電子インクを活用して消費電力「ゼロ」表示を保持できる電子ペーパーディスプレー「ePoster」を開発したシャープが選ばれた。屋外の掲示板やバス停などの大判ポスターをデジタル化したいという市場の声を反映。通信と接続してデータを書き換えることができ、太陽光発電による省エネ設計により災害時のサイネージとして活用できることも認められた。 デジタル大臣賞を受賞したCalTaは、動画をブラウザ上にアップロードするだけで簡単に3Dデータを生成できるデジタルツインアプリ「TRANCITY」を開発。3Dデータは複数種類の地図上へ実寸大で配置され、インフラの維持管理や建設を中心に活用が進んでいる。現場のニーズから生まれた実用性の高さが評価を得た。 25周年特別賞のNECは、人物や車、建物などの映像データを複数のAI(人工知能)が認識・理解し、独自の大規模言語モデル(LLM)が認識結果を文字化して短縮動画と説明文章を自動生成する世界初の技術を開発。さまざまな領域での応用展開に向けた期待と、CEATECの開催テーマ「イノベーション・フォー・オール」に合致するとして選定された。 CEATEC2024、808社出展 幕張メッセ(千葉市美浜区)で15日に開幕する今年のCEATECには、昨年比124社増の808社が出展する。このうち340社(42%)が新規出展だ。スタートアップや研究機関も35社増の188社が出展。海外勢も25カ国・地域から158社・団体が参加する。 25周年の節目を迎える今年はAI(人工知能)が最大の焦点で、出展者の約半数がAI関連の展示を予定する。日本自動車工業会主催の「ジャパンモビリティショー」と初の併催となり、電気自動車(EV)をはじめとする次世代モビリティーと最新エレクトロニクスの融合も注目を集めそうだ。 10日に会見した鹿野清CEATECエグゼクティブプロデューサーは「昨年の約8.9万人を上回る10万人超の来場者数を見込んでいる」と意気込みを示した。
電波新聞社 報道本部