山上直子の犬も歩けば 秋の京に競う しなやか竹の美と生命力 ダニエル・オスト展「竹と花の奏宴」
素材が花ゆえに時間には限りがある。制作中の作品はまず関係者以外の人目に触れることは少ないが、ちょっと無理を言ってみせてもらった。
ぱっと目を引いたのは、すす色の竹で作った大きな器。その上に飾られた色鮮やかなツルウメモドキをオストさんがチェックしている。峰玉亭のどこかにつり下げられる予定というから、展覧会で探してみるのも一興だろう。
ちょっと変わった作品もあった。大きな和紙にハスの花托(ハチの巣に似た花の中心部)が飾り付けられ、不思議な造形美を醸し出している。
そのハスは和歌山生まれの「舞妃蓮(まいひれん)」。花は淡いピンク色の高貴な風情で、舞うように咲く姿を当時の皇太子妃美智子さまに重ねて名付けられたそうだ。花の時期は終わったが、その花托を作品に取り入れる。
多様な自然のエッセンスで創り上げる竹と花の造形美。展覧会では約30点を屋内外に設置し、午後5時からはライトアップされ、夜の雰囲気も楽しめる。
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25~30日、午前9時~午後8時。前売り券5千円、当日券5500円(小学生以下無料)。会期中、京都市営地下鉄・北大路駅から臨時バスあり。詳しくは「しょうざんリゾート」ホームページから。問い合わせはダニエル・オスト事務局(03・6278・8145)。
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【プロフィル】ダニエル・オスト
1955年、ベルギー生まれ。フラワーアーティスト。祖父母の影響で幼少時から植物に親しみ、ベルギー王室のロイヤルウエディングの装飾をはじめ、世界各地の伝統的な建築物を舞台に作品を発表。植物を素材に創り上げる美しい造形美は「花の建築家」「花の彫刻家」と称される。日本でも平成25年に出雲大社<平成の大遷宮>奉祝事業、令和元年に明治神宮鎮座百年祭で奉祝花会などを開催。平成27年に旭日小綬章を受章。