自主再建進めるKTM、MotoGPプロジェクトへの影響必至。来季バイクの開発が一時停止に
KTMは深刻な財政危機に直面しており、MotoGPのバイク開発の一時停止を決定したことがmotorsport.comの取材でわかった。 【動画】MotoGP2024 最終戦ソリダリティGPハイライト この決定は、KTMが再建手続きの開始を申請した後、KTMのスポーツ・プロジェクトを安全に保つことを目的とした計画に含まれる措置のひとつである。 ピエラー・モビリティ・グループの一員であるKTMの負債額は約30億ユーロ(約4714億円)にも及び、当初考えられていたよりもはるかに大きいことが先週明らかになった。 motorsport.comの調べによれば、MotoGP関係者はバルセロナでのシーズン最終戦の最中にKTMのワークショップでミーティングを開き、出席者全員に同社の厳しい財務状況を伝えたという。 この会議では、KTMはMotoGPへの参戦を続けるということがスタッフたちに再確認された。 またKTMは以前から実施しているコスト抑制方針を強調するとともに、ファクトリーチームのペドロ・アコスタとブラッド・ビンダー、テック3のマーベリック・ビニャーレスとエネア・バスティアニーニが来年乗るバイクの開発休止についても話し合われた。2月初旬にセパンで開催されるプレシーズンテストまで、バイクの開発は一時中断されるようだ。 今月初めにバルセロナで行なわれたポストシーズンテストに持ち込まれた新しいコンポーネントは、新しいフェアリングといくつかのスクリーンに限られていた。その数週間前にテストライダーの契約を更新したダニ・ペドロサも、ポル・エスパルガロもこのテストには参加しなかった。 KTMは非公式ながら、4台すべてのバイクが2025年のMotoGPグリッドにつくことをチームに確約しているが、MotoGPプロモーターのドルナには疑念があるようだ。 ここ数ヵ月でKTMは大規模な再編を行ない、いくつかの支社が分割されるなど整理が進み、レース部門はKTMレーシングGmbHの傘下に置かれている。当初、これでレース部門は安泰と思われたが、露呈した事態の深刻さは、当初の見積もりよりもはるかに大きい。 前述のMotoGPバイクの開発凍結に加え、KTMはスポーツ部門の隔離を狙った戦略計画を近日中に発表すると見られている。社内ではレース部門が活発であることが不可欠と考えられており、そうでなければ、会社のイメージへの打撃は現在よりもさらに大きくなり、販売にさらに悪影響を与える可能性が高いからだ。 KTMの財務状態に関する最初の噂が出始めたのは2024年後半のことで、特に過剰生産と売上の大幅な落ち込み、そして電動バイク・プロジェクトの失敗がその原因だった。そしてその噂はMotoGPのパドックで広まっていった。 今年9月に実施したミサノテストのあと、アコスタは「僕がファクトリーに行ったところ、彼らはスポーツプログラムが完全にサポートされることを保証してくれた。だから安心できる」と語っていた。 それから2ヵ月間、KTMをめぐり悪いニュースが続いた。これまでのところ、最も大きな打撃となったのは、11月26日(火)、前述のように自主管理による再建手続きの開始が公表されたときだった。
Oriol Puigdemont