<私の恩人>恵俊彰の中に息づく大竹まことの言葉
あと、上岡さんの番組で言うと“女子高生対オジサン、クイズバトル”的なコーナーをやったことがあったんです。オジサンたちは“チョベリバ”みたいなギャル言葉が分かりますか?みたいなクイズに答え、逆に女子高生はオヤジ言葉の意味が分かりますか?みたいな内容でした。そのコーナーの司会を僕がやらせてもらったんですけど、そこでも自分を見つめなおすきっかけをいただきました。 生放送だし、司会と言ってもディレクターさんが次々に出すカンペをとにかく読んでいくみたいな感じだったんですけど、その中で「じゃ、互いにエールを送って、クイズ大会スタートです!!」と僕が言ったんです。そこで、上岡さんから“待った”が入りました。 上岡さん「ちょっと、司会の方。これからクイズで戦うのに、なんでエールを送らなきゃいけないんですか?」 僕「はい?」 上岡さん「いやいや、これから戦うんですよ。それなのに、なぜエールなんですか?」 僕「いや、そういう流れで…」 上岡さん「そうじゃなくて、エールって何ですか?応援でしょ。これから戦う相手に、なんで応援をしないといけないんですか?私、分かりません」 僕「いや、あの…」 上岡さん「まずはそこを説明してください。じゃないと、ここから先には進めません」 ディレクターさんは「早く進めろ!!」ってエライ表情になってますけど、上岡さんは僕がその場を取り繕うようなことを言っても「いや、それではわかりません」の繰り返し。あらゆる汗が噴き出してきました。 無事なのかどうなのかは分かりませんけど、とにかく、その日の放送が終わった後、大竹さんがソッと言ってくれたんです。「あれ、上岡さんはむちゃくちゃ楽しんでるんだよ。お前は、アレでいいんだよ。上岡さんはお前が必死に何かやろうとしているのを見て、引き出して、楽しんでるんだから」と。 それで気づかされたというか、これまた当時の僕は、とにかく表面上きれいに、ソツなく番組を進めていくことにばかりとらわれていた。面白いことをやるということを横に置いて。そうなっていることを教えてくれた上岡さんにもただただ感謝ですし、そういう時にも、スマートに、そして温かく教えてくれる大竹さん。本当に、ありがたかったです。