<私の恩人>恵俊彰の中に息づく大竹まことの言葉
大竹さん、普段からご飯にもよく連れて行ってもらいました。番組が終わったら「この後、どうしてる?」とこれもサラッと聞いてくださるんです。大竹さんはお酒を飲まない。なので、僕ばっかりお酒を飲んで、大竹さんはお茶だけ。どっちが先輩か分かんないですけど(笑)、こちらに気を使わせないように「バカ野郎、オレと一緒にいる時は金の心配なんてしなくていいんだよ」って。それも心に染みる言葉でした。 あと、もっと大きな仕事の流れの中でも大竹さんには救っていただきました。「ホンジャマカ」と当時の「バカルディ」、今の「さまぁ~ず」との番組「大石恵三」(93年、フジテレビ系)が半年で終わることになってしまった。せっかく自分たちの番組を持てたのに、そのビッグチャンスを失った。 今後、どうするのか。そんな悩みを抱いていた時に声をかけていただいたのが大竹さん司会の「ロバの耳そうじ」(94~96年、日本テレビ系)だったんです。ここで初めて、サブ司会としてのポジションをいただきました。あと、今でも僕の精神的な柱みたいになっている言葉をいただいたのも、ちょうどこの番組の時でした。 「この仕事は自分で決めてねぇんだよ。どんなにやりたくなくても呼ばれたら行かなきゃなんねぇし、どれだけ行きたくても呼ばれないと行くことができない。オレたちの人生って、人が決めてんだよ」 ああ、そうかと…。芸能界とかって、さも、自分のやりたいことをやれているような錯覚に陥るんですけど、そうじゃないんだと。スタッフさんがいるから自分が呼んでもらえるし、スタッフさんが声をかけてくれなければこの仕事はないんだと。それがとことん分かっているからこそ、実際、大竹さんはスタッフさんからすごく信頼されてますし。
大竹さんの好きなところですか?これ、本当に本気で言いますけど、カッコイイところです。ルックスもだし、ふるまいもだし。自分のいい話を言う人ではないし、私生活を見せる人でもないし、家族思いのところなんて死ぬまで言わないだろうし。 ま、この一言一言が、大竹さんにとっては営業妨害なんですけどね(笑)。それは百も承知で、そして、こんなことを言っても大竹さんに何のプラスもないことも分かっているんですけど、オレがこう思ってる以上、それもそれで仕方ないんです。 「お前、言っていいことと悪いことがあるんだぞ。オレ、食えなくなるじゃねぇか」って怒られるかもしれませんけど、僕が恩人の話をするならば、こんな感じになりますから。あとは、大竹さんがこれを読まないでくれって、勝手に願うしかないです(笑)。 (取材・文/中西正男) ■恵俊彰(めぐみ・としあき) 1964年12月21日生まれ。鹿児島県出身。ワタナベエンターテインメント所属。サラリーマン生活を経て、87年、渡辺プロダクションのお笑いタレント養成所のオーディションに合格し、芸能界入り。89年に石塚英彦とお笑いコンビ「ホンジャマカ」として活動をスタートさせる。TBSテレビ「ひるおび!」のメインキャスターを務めるなどレギュラー多数。そして、10月28日スタートのフジテレビ系「その原因、Xにあり!」でも司会を務める。「その原因―」は身近な悩みを取り上げ、専門家とともに“その原因”を解明していくバラエティー。 ■中西正男 1974年大阪府枚方市生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。大阪報道部で芸能担当記者となり、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、芸能ジャーナリストに転身。現在、ABCテレビ「おはよう朝日です」などに出演中。