俳優を狙った「誘拐事件」が頻発か…タイ国境の“無法地帯”で消息を絶った「中国人俳優」が奇跡の生還
海外進出の考えは詐欺集団にとって“チャンス”
中国誌「南方周末」によれば、近ごろSNSを介してタイでの仕事を依頼された俳優やスタッフは10人以上。かつての手口は安い旅行ツアーか高額報酬の求人だったが、王星さんのように俳優として渡航させる手口はおそらく最新だという。 中国SNSでも、同じようにタイに呼ばれたという男性俳優が、異変を感じて迎えの車に乗らず、そのまま中国へ戻った体験をSNSで告白した。一方で、ドラマ撮影でタイに行った男性俳優が帰国せず、状況を伝えるメッセージが偽者と思われる人物から届いていることも判明。この俳優も王星さんと同じ男と接触したと報じられている。 王星さんと共演経験がある女性俳優は、王星さんのように端役を演じる「草の根俳優」はギャラが非常に安く、海外進出のチャンスに飛びつきやすい土壌があるとSNSに投稿した。「南方周末」も、中国内の不況や俳優の海外進出は詐欺集団にとって“チャンス”だと指摘している。 台湾でも王星さんの件が報じられる数日前、火舞(ファイアーダンス)の演者男性が12月25日にタイへ向かい、ミャンマーから「慰謝料として数万ドルを要求されている」と家族に助けを求める事件が発生していた。この事件に関連して「スタントマンの友人もタイに行き、連絡が取れなくなった」というSNS投稿もあり、年末に中華圏の芸能関係者が狙い撃ちされた可能性は高いといえる。 帰国後、王星さんは何を語るのか。タイに向かった他の俳優たちはどうなっているのか。また、先に消息を絶った一般人たちは。表面上は解決しても、さらなる闇の深さを感じさせる事件である。
デイリー新潮編集部
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