尹大統領に二重・三重の包囲網 複数の特別検察が同時捜査の可能性
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「非常戒厳」宣言を巡り、検察と警察のほか、政府高官らの不正を捜査する高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による捜査が加速する中、さらに史上初の三つの特別検察による捜査が同時に行われるかに関心が集まっている。 国会は10日の本会議で、非常戒厳宣言の真相究明に向けた常設特別検察官による捜査要求案を可決した。これとは別に、非常戒厳宣言を巡る内乱容疑の捜査を行う特別検察官と、尹大統領の妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏を巡る疑惑を捜査する特別検察官を任命する二つの法案を野党が国会に提出しており、それぞれ14日と12日に本会議に上程される。 両法案が可決されれば尹大統領と金建希氏に関して二つから三つの特別検察官による捜査が同時に行われる可能性も出てくる。 常設特別検察に関しては通常の特別検察とは異なり大統領が拒否権を行使できない。ただ、規定では大統領が特別検察官の候補推薦委員会に候補者の推薦を依頼し、同委が推薦した2人の候補のうち1人を任命すると定めている。大統領がこうした手続きを取らなかった場合、常設特別検察の設置は難しくなる。 最大野党「共に民主党」はこうした状況も想定して他の二つの特別検察官任命法案を発議したようだ。同法案には「大統領が期限内に任命権を行使しない場合、(候補のうち)年長者が任命されたとみなす」との規定があり、大統領が任命しなくても設置が可能だ。 ただ、この両法案は大統領が拒否権を行使すれば、国会で再採決を行わなければならない。再可決には在籍議員の過半数の出席と3分の2以上の賛成が必要となる。 このため状況次第で特別検察官による二つから最大三つの捜査が同時に行われるという異例の事態となる可能性がある。 特別検察官は検察、警察、公捜処などの捜査機関に証拠など関連資料の提出や捜査支援などの協力を要請できる。検察は尹大統領と共に非常戒厳宣言を主導した内乱容疑などで金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官を逮捕しており、尹大統領への捜査も進めている。警察と公捜処も捜査を加速させており、特別検察官による捜査が始まれば尹大統領を頂点とする内乱容疑の捜査、金建希氏への捜査が同時多発的に進む見通しだ。
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