62歳男性「貯蓄が多くても住民税非課税世帯になりますか?退職金1700万円、年金月額14万円の見込みです」
貯蓄や金融資産の規模は住民税の基準に影響しない
貯蓄や金融資産が多くても、それだけで住民税の課税・非課税が変わることはありません。 住民税の課税・非課税や水準を決めるのはあくまで前年の所得水準です。 貯蓄・金融資産の規模は前年の所得に計上されないため、たとえいくら資産が多くても、所得が基準を下回っていれば課税されません。 なお、貯蓄や金融資産を通じて金利収入や配当、売買益がでた場合、これらは所得として計算されます。 たとえば金融資産を株や投資信託など有価証券で持っている場合は、年金による収入などが少なくても、投資収益によって所得が上振れて課税される可能性があります。
年金月額14万円の世帯の住民税は非課税?
さて、表題にある「退職金1700万円・月額14万円」の年金収入の世帯の住民税の有無は、世帯の状況によります。 退職金が支給された年の翌年以降の収入は、年間168万円です。 日本年金機構「所得金額の早見表」によると、特殊な控除の要件がない場合、公的年金168万円の課税所得は58万円です。 先ほど示した東京都中央区を例にとると、二人世帯で一人が扶養となる配偶者であれば所得101万円までは非課税です。 そのため、課税所得58万円では非課税となります。 一方で、一人暮らしの場合は必然的に「扶養親族なし」となります。 非課税となる要件は課税所得45万円以下です。 そのため、年間の所得が58万円ですと、年間数万円の住民税が発生します。 ただし、ほかに生命保険による控除などがある場合では、一人暮らしでも課税所得が低減して非課税となるケースもあるでしょう。
まとめにかえて
住民税は、あくまで前年の所得を基準として決められるため、金融資産が大きくても、それだけで課税されることはありません。 老後資産を形成するうえで「貯蓄が多いせいで税金が増える」という心配は不要です。 ゆとりある老後生活を実現するために、積極的に資産形成を進めてください。
参考資料
・中央区ホームページ「住民税額の計算」 ・中央区ホームページ「住民税がかからない方」 ・日本年金機構「所得金額の早見表」
太田 彩子