【UFC】ストリックランド「まわし? つけるよ。相撲部屋に行くぞ」「コスタの罠にははまらない」「PRIDEルールは“弱い男”には無理」=6月2日(日)『UFC 302』
2024年6月1日(日本時間2日)に米国ニュージャージー州ニューアークのプレデンシャルセンターにて『UFC 302: Makhachev vs. Poirier』(U-NEXT配信)が開催される。 【写真】フェイスオフで対峙するストリックランドとコスタ コメインでは、ミドル級5分5Rで元UFC世界ミドル級王者で現同級1位のショーン・ストリックランド(米国)と、同級7位のパウロ・コスタ(ブラジル)が対戦する。 ストリックランドは、L字ガードのボクシングで精緻なジャブ・ストレートを武器にタフに圧力をかけ続けるストライカー。 UFC3連勝でイスラエル・アデサニヤに判定勝ちし、UFC世界ミドル級王者につくも、2024年1月の前戦でドリカス・デュ・プレシにスプリット判定で敗れ、王座陥落。今回が再起戦となる。 対するコスタは、KO・TKO率78%を誇るミドル級屈指のハードパンチャー。Jungle Fight王者からUFC入りし、ヨエル・ロメロに判定勝ちなど5連勝で王者アデサニヤに挑戦も2R TKO負け。マーヴィン・ヴェットーリにも敗れ連敗も、ルーク・ロックホールドに判定勝ちで再起すると、2024年2月の前戦でロバート・ウィテカーに判定負けを喫している。 本誌ではそんな強打者のコスタと対戦するストリックランドにインタビュー。2週間後に来日するという“暴君”は、大相撲への興味と、PRIDE時代から夢中になったMMAへの愛を語り、コスタ戦の自信をかたった。 ◆相撲にアームドラッグがある、だと? ──前回の試合から5カ月が経ちました。ところで、前回のインタビューであなたが日本に来たいと言っていた事にファンは喜んでいましたよ。 「前回のインタビューも覚えてるぞ! 実は今回の試合の1週間後に日本へ行くんだよ、待っててくれ。東京に行く。京都にも1日行く予定だ。めちゃくちゃ楽しみにしている」 ──来日されたら東京を案内しますよ。そんななかで日本の格闘技専門誌としては、最近ショーンに見逃せない発言がありました。力士について……。 「ああ! 相撲のことだろう? 単に太ってデカくてスキルが無いってことな? いや俺、きちんと2、3時間しっかりと相撲を見たけど、テクニック無いだろ? あるのか? アームドラッグとかやらないだろ?」 ──相撲はあの狭い土俵のなかで相手を倒したり、押し出すために立ち合うんです。それにアームドラッグも、あります。“手繰り”とか“取ったり”とか言いますけど。こうして(※動画を見てもらう) 「ああ、これはアームドラッグだな! いい相撲レスラーじゃないか」 ──この力士は宇良和輝といって、4歳から相撲を始め、小・中学校とレスリングも並行してやってました。 「ん? ちょっと待て! それはレスリングだろ!」 ──いや、まあそうなんですけど(苦笑)、その決り手があるということは、当然、相撲にもその技はあるわけで。 「ふん、まぁ、いい。投げ飛ばすから大丈夫だ。力士をブッ飛ばしてやるよ」 ──グーパンチはダメですよ(苦笑)。ショーンがMMAで強いことは認めますが、相撲ルールでは白帯で……。 「いや、いま見たコイツはブラックベルトですらないぞ、ピンクでもいいのか? この色は×●××●」 ──話がズレてる(笑)。日本のあるテレビの調査では、オープンハンドの威力がアメフト選手で500kg前後。力士は600kgから1000kgあったそうです。 「オマエはUFCを1から見てるのか? 当たらねえと意味ないだろう。あのとき……」 ──だから「相撲ルールでは」と(笑)。しかし口でも強いですね(笑)。格闘技専門誌としては、相撲も世界のレスリングのひとつとしてとらえると、独特なのはあのまわしで、あの小さなサークルのなかで掴むところがあると、身体操作が変わりますよ。 「ああ、面白いな。日本に行った時は相撲部屋に連れてってくれよ」 ──分かりました。その時はまわしをつけないといけないですよ? 「絶対つける、約束するよ。敬意は持ってるからな。ちょっとこの後、連絡先を渡すから予定を立てようじゃないか!」 ◆デュ・プレシとの戦いは学びがあった。コスタの罠にははまらない ──さて、本題に入ります。1月のドリカス・デュ・プレシ戦はタフな試合でした。スプリットに割れた判定でミドル級王座を手放しましたね。 「俺はあの試合勝ったと思っているし、デイナ(ホワイト代表)も俺が勝ったと思っていたはずだ。まず顔を血で覆われた状態で試合はするべきではないと思ったね。自分のしたいようなパフォーマンスをする事ができなかった。だけど目に血が入ると見えないし。まぁ、でもまた復活して上がるだけだ。次はコスタ戦で、見てくれればと思う」 ──あなたの強みは圧力をかけて、近い距離に自分から入っていってコンタクトを多くして相手を疲弊させるところにあると思います。しかし、あの試合ではデュ・プレシに圧力をかけられる形となった。あの試合から学んだ事は? 「そうだな、ヤツは本当にタフガイだ。スキルが高い選手かって言ったらそうではないがハードに戦うヤツだと思う。気持ちが入った戦いをする。それについてはリスペクトをしていて。相手がヤツじゃなかったからもっと簡単に立ち回れていたと思う。あの展開は俺にとって、いい気づきにもなったよ。常に“ああじゃなかったら、こうしなかったら”っていうのは付きまとうし、今でも自分が勝ったと思っているが。とにかく上を向いてジムでいつも通りに備えるだけだ」 ──その点で、今回の対戦相手のパウロ・コスタは下がりながら戦うときがあるから、ストリックランド選手の圧が活きるのではないですか。 「そうだな、でもヤツは下がったところに入り込んだ瞬間に捉えるっていうやり方が多いよな。それで捉えたらもう止められない。だから目を使ってよく見て、シャープでいる事が大事だ」 ──たしかに。パウロは下がりながらカウンターの強い右ストレート、それに右の上下の蹴りもあります。 「相手の罠にハマらず入り込んで、右やオーバーハンドをもらったりしないようにする。まぁ、言うだけなら簡単なんだけど、コスタはベーシックな選手だと思うから。あいつが放つものはきちんと見切れると思う。まぁ、やってみたら分かるな」 ──今回はコメインながら5R戦です。どんな試合になるでしょう。 「まず判定までいかないっていうのが俺にとっては大事だ。前回の試合を経て、今回は本当にコスタを負かしたい。それが3ラウンド目でも4ラウンド目でも5ラウンド目でもだ。とにかく最後まで力を抜かず戦うのが大事だ。カーディオがキーになるだろうし、顔が血まみれになったりしてくると、俺の中の弱い女みてぇな部分が語りかけてきたりする事もある。とにかくフィニッシュするのが重要だと思っている」 ◆ファイトキャンプが終わる頃には日本からの出稽古の選手も成長が見れる。それが嬉しいんだ ──あなたがさきほど言った圧力は、ハードな練習に裏打ちされていると感じます。そのタフなカーディオは、スパーリングでつけているのですか? ラントレなどもしているのですよね? 「いや、走るのは減量の時だけだ。俺はとにかくスパーリングをたくさんするんだ。実はこのインタビューの前にもジョニー・エブレン(現Bellator世界ミドル級王者)と5Rのスパーをしてきた。結構ハードなやつだ。本当に俺はスパーリングが大好きなんだ。戦う事で自分が保てるから、たまに試合の為のトレーニングでスパーをしている事を忘れるんだよな。だから『ショーン、お前は試合の為のトレーニングを今しているんだ。楽しむ為にスパーをしているんじゃない。お前の仕事の為だぞ』って言われるよ」 ──スパーリングのことは以前も聞きましたが、そのスタミナもほとんどスパーでつけているとは……。パートナーも大変ですね。 「いまエクストリーム・クートゥアーには、トム・アスピナル(現UFC世界ヘビー級暫定王者)も来ているし、そういえば、日本人も俺のジムにいてスパーリングしてるぞ。名前は分からないが。実はジムに何人も日系がいるんだよな。みんな、すげーいいヤツばかりで大好きなんだよ。何がいいかって、ヤツらみんなナイスなのに、俺は『オイ、そこの弱いヤツ、女々しく戦ってんじゃねぇよ』みたいな事をいって本当ワルに見えると思うんだ。俺のこと、頭おかしいヤツって最初は思われるんだけど。ファイトキャンプが終わる頃には皆ちょっとハートも強くなっているように見えるし、その成長が見れるのが嬉しいんだよな」 ──あなたがチマエフやアンカラエフら錚々たる面子のプロ練習を回して、ゲキを飛ばしている姿を見た事があります。そして率先して強い選手とスパーする。出稽古から帰る選手が逞しくなるのも分かります。 「そいつも確か無敗のヤツだったよ。Jiggly Puff(※ポケットモンスターの「プリン」の英語名称)って呼んでたけどな(笑)。とにかく日本人はいつもナイスでリスペクトがあって最高なんだ。それで俺に会うと俺は傲慢なアメリカ人だろ? 怒鳴るし、侮辱するし、だから俺と過ごすと皆ちょっと鍛えられている気がしてそれが本当にいいんだよ。みんな礼儀正しいだろ? それがまた腹立たしくてさ(笑)。『おい、俺は今からお前を殴って鼻でも折ってやろうと思ってるんだから、ナイスでいるのは止めてくれよ。かかって来いよ。俺を痛めつけていいんだから。そんで俺のことを『クソヤロー』って言っていいんだ、って」 ──あなた自身が遠征した出稽古先でもそうですね。誰とでもやる。日本に来たときも、練習したくなるんじゃないですか。 「そう。日本に行くのにワクワクしている理由はもう一つあって。俺はPRIDEを見て育ったんだ。PRIDEはUFCよりずっと最高だった。マジで学校の課題も放置してずっとPCでPRIDEを見てたんだ。あのドラムも本当大好きなんだよ、PRIDE。最高だ。UFCとPRIDEが対抗戦やっただろ? ジェフ・モンソンとか、チャック・リデルも最高だけど。対抗戦ではアリスター・オーフレームを応援したりな」 ──PRIDEのルールセットについてはどう思う? 「俺が言えるのは、PRIDEはマジで残忍だったよな。“弱い男”には無理なんだよ。サッカーボールキック、いいよな。グラウンドヒザなんて、いまじゃ蹴られたくないからわざわざマットに手を着くやつもいる。復活しねぇかな。垂直エルボーもな。また採り入れてもいいんじゃないか? ヤバい、ちょっと懐かしくなってきたな。この試合でしっかり勝って早く日本へ行きたい。そこでセッションしようぜ」 ──了解です。では最後に日本のファンにメッセージを。 「日本のファン、みんな聞け。お前らみんな礼儀正し過ぎるんだよ。もっと怒れ。もっとフィジカルにだ。もっとバイオレントになれ! だが、皆マジで大好きだ。お前らの為に相手を血まみれにしてやるからな。ぜひ、U-NEXTで俺の試合を見てくれ。そして、みんな、2週間後に日本で会えるのを楽しみにしているよ」
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