「中国が強くなりすぎた」「中国企業が世界で天下を取り続ける」急成長中の経済大国インドが、それでも中国に勝てない“決定的理由”
Amazonの“中国企業の締め出し”による変化
2021年には、もうひとつ大きな事件がありました。Amazonによる中国企業の大規模な締め出しです。アカウントを閉鎖された事業者は5万店舗を超え、損失額1000億元超とも言われています。 その後、中国の企業はAmazonではなく、「Temu」や「SHEIN」、「TikTok Shop」に出店するようになります。さらにアリババやテンセントが出資している「Lazada」や「Shopee」など、他国のECサイトにも商品を出すようになるのです。 中国企業がAmazon以外の各国のECサイトに出店し、消費者もコロナを経てそれを利用するようになったのです。アメリカから制裁を受けた「ファーウェイ」は一時期スマートフォンを作れなくなりましたが、近年は逆境を乗り越え、スマートフォン事業が復活している。大雑把にいえば、それと似たようなことが起きたわけです。
中国商品が、海外で売れる仕組み
そして、ECサイトに出品する中国企業の販売をサポートするために、海外への物流を担当する中国企業が世界各地に台頭します。例えば、中国とベトナムの国境付近には倉庫があって、ベトナムから注文があれば、すぐにそこから発送できるようになっているんです。 アメリカが警戒するメキシコでも、中国企業による倉庫や配送などの物流網が整い、ECサイトで快適に中国商品を購入できるようになっています。 物流だけでなく、ECサイトの決済支援を行う中国企業が世界各国にできています。その結果、中小企業が海外へ販売するハードルが下がり、自然と商品が海外で売れるようになっていくわけです。
インドでは、中国からの輸入額が1000億ドルを超えた
さらに中国企業は、生産面でも世界展開を進めています。アメリカが中国製品の関税を高めた結果、多くの中国企業が、自社製品をベトナムやメキシコなどに再輸出貿易を行って販売したり、これらの地域で生産・製造できる体制を整えたりしています。 ちなみにインドでは、中国からの輸入額が2023年度に1000億ドルを超えました。インドにある中国企業で製品を生産・製造する動きもあり、中国に依存しています。 モノづくりだけでなく、物流の整備も中国のノウハウを参考にして展開。インド企業のバックには中国の投資ファンドがついていることが多く、専業の企業に投資を行ってサポートしています。