ほぼ本州最西端!「最果てのバス停」には一体何があるのか? 実際に行ってみた 車両は「元・都バス」
「最果てのバス停」感が薄い…?
下関駅を出て20分ほど、最後は県道250号「南風泊(はえどまり)港線」を右折して小道に入り、終点の竹の子島停留所に到着。目前に海が迫ります。 南風泊漁港の中にある停留所にはコンクリートブロックを積み上げて作られた小屋が設けられ、雨風をしのげるようになっていました。潮風を受けてややくたびれた小屋から、最果ての雰囲気をいくらか感じ取ることができます。 停留所の周囲にはバスを転回させられるほど広い場所はありません。どのように向きを変えるのか観察していると、停留所を離れたバスはすぐに右折して駐車。ここで下関駅へ戻る便の出発時刻まで時間調整し、右折を2回繰り返して県道250号に再び入り、停留所の小屋の前に戻ってきました。つまり停留所付近をぐるりと1周することで、バックを伴う転回作業を省略しているのです。下関駅行きは県道250号に入る交差点で左折して、竹の子島に背を向けて下関駅へと向かいます。 竹の子島付近は宅地化されていました。また南風泊漁港は下関名物のフグが多く水揚げされ、時季になると布袋の中の指先でフグの値段を決める「袋セリ」が行われることでも有名。漁船が何艘も停泊していて、人の雰囲気を感じ取ることがきました。竹の子島停留所から5分ほど歩いて橋を渡った先にある離島の竹ノ子島もまた、住宅地と造船所になっていました。 このように、ほぼ本州最西端の停留所は生活に根ざした場所にあるのです。また、関彦線自体、終日1時間に2,3本程度が運行され、乗車した便も途中乗車・下車が頻繁にあり、地域の足として利用されています。 ちなみに下関駅へ戻る際に乗車したバスには、シートのモケットに東京都交通局のマスコット「みんくる」が描かれていました。この車両はもともと都営バスで使用されており、新車との入れ替えで廃車になったあとサンデン交通にやってきた「移籍車」なのです。このような移籍車との出会いも、地方の路線バスに乗車する楽しみのひとつといえます。
水野二千翔(高円寺工房/モビリティライター)