まさに“特別”東京23区 都と特別区の「財政調整制度」とは
都の「内部的な団体」扱いだった歴史 今は特別地方公共団体
そもそも特別区は、いつどのように誕生したのでしょうか。 1878(明治11)年の郡区町村編制法制定により、東京府に15区6郡が置かれたのが、東京に区ができたはじまりです。その後、この15区による東京市ができ、町村の再編で1932(昭和7)年、35区となります。この区域が、ほぼ現在の特別区の区域となっています。1943(同18)年には、東京都制による東京都が誕生。戦後間もない1947(同22)年、民主化政策により改正された都制のもと、区の自治基盤強化を目的に、35区の再編が行われ、現在の23特別区が発足しました。 この発足時、特別区は、地方自治法で一般の市と同格の自治体とされていました。ところが、実際には多くの事務が東京都に残されていたため、1952(同27)年の地方自治法改正で、特別区を「地方公共団体」にあたらない東京都の「内部的な団体」と位置づけられたため、区長の公選制も廃止されてしまいます。しかし、特別区で続いた自治権拡充を求める運動と、東京の巨大都市化に伴う行政の行き詰まりから、特別区への権限委譲がはじまり、1975(同50)年にはようやく、区長公選制が復活。2000(平成12)年には地方分権改革で、東京都の内部団体ではなく、「基礎的な地方公共団体」と規定されました。 ただ法的には、特別区はまだ「特別地方公共団体」とされ、ほかの市町村のような「普通地方公共団体」の機能を完全に有していません。その最も特徴的なものが、都と特別区による特殊な地方税の分配制度として続けられているのです。 住民投票で実現しませんでしたが、大阪都構想では、大阪都の特別区を、一般市よりも権限範囲の広い中核市レベルにする、と想定していました。まさに日本の中枢である東京23特別区の未来をどう描くのか…。新しい都知事が示すビジョンが注目されます。